盛りだくさんのソチ

ソチという街、とりわけクラスナヤ・ボリャーナの素晴らしさは多々耳にしていたが、百聞は一見にしかず。そう、私自身はというと、どういうわけかソチをちゃんと見て回ったことがなかった。2年前にF-1観戦のため立ち寄ったことはあるが、レーシングコースとオリンピックパークを訪れただけだ。

今回もスケジュールの慌ただしさは相変わらずだったが、この地の雰囲気、さらにトレッキングまで楽しめた。実に、よかった!ここソチの素晴らしさは、私にとってうれしい驚き悲鳴だった。黒海に面したロシアの海辺の街だとは、とても信じられない。どうしたら、こんなに発展できる変われるのか!

クラスナヤ・ボリャーナの雄大さ、近代的な雰囲気、眩しさ(新しさ)、広々とした堤防、川沿いを散策する人々には圧倒された。

正直、アルプスの街を含めても、クラスナヤ・ボリャーナほど心地良いスキーリゾートは思いつかない。言ってしまえば、欧州のほとんどのスキーリゾートは元々農村だったところが何年もかけてスキー場へと姿を変えたものだ。ところが、ここは、ほぼ何もかも初めからスキーリゾートとして作られている。仕上がりもなかなかだ。

1つだけ、街で見かけないものがある。そのせいで、ここがモナコではないことがわかる。モナコでちょくちょく目にするフェラーリやランボルギーニだ。だが、ここはカジノを建設中だそうだ。もう少しすれば、2つの街は区別がつかなくなるかも知れない!

クラスナヤ・ボリャーナ自体は標高わずか500 m程だが、ゲレンデは見上げる山々のはるか上の方に延びている。この珍しい組み合わせによって、標高の高い山側にはスキーにぴったりの雪が積もり、かたや標高の低いクラスナヤ・ボリャーナは温暖で亜熱帯並みの日もあるそうだ。スキーヤーたちは、昼は防寒用のスキーウェアに身を包み、夜になればジーンズとTシャツに薄手のジャケットでも羽織って川沿いのカフェでくつろぐのだろう。また、スキーシーズンは5月末、海水が温かいと感じるようになる頃まで続くのだそうだ。その頃は、昼はスキー、夜は海という、いい感じに不思議な光景が現れるのだろう。

現地に詳しい人の豆知識をもう1つ。「山に新雪が降った」というのは、仕事を休むための正当な理由になるのだそうだ。おそらく、1日か2日なら。

// そういうことなら、ソチにオフィスを構えるのはやめておこう!実は、ソチに当社のテクノパークを作りたいと思ったことがあるのだが、怠け者に優しい土地柄とわかったので、やっぱり遠慮しておこう!我々にはやるべきことがあるのだ!しかも山ほど!ちょっと雪が降ったぐらいで何日も仕事を休んでもらうわけにはいかない!

他には…

そうそう、ここには1000席の会議場がある。ちょっと待てよ。ここに移転することはまずないだろうが、かねての夢、スキーリゾートでカンファレンスなら叶うかもしれない。1、2時間、ステージの上で働いてから外へ出てスノーボードに興じる。名案だ!スキーリゾートでこんなに広々としたビジネス施設があるところが他にあるだろうか。ああ1つあった、ダボスというスイスの小さな街だ。それでも2箇所だけだ。ダボス、ソチ、以上。

さっそくインターネットでホテルと会議施設の価格を調べてみると、そこでもう1つ嬉しい驚きがあった。格安の地下の部屋から豪華で贅沢なものまで、あらゆる予算に合った部屋がある。問題はただ1つ、空きがない!どこも予約がいっぱいで、その辺をブラブラしているような観光客に押さえられていた。クラスナヤ・ボリャーナだけでなくソチまで!

クラスナヤ・ボリャーナはスキーリゾートだけで終わらない。夏に訪れるのも良く、特にトレッキングが好きな人ならお勧めだ。実際、地元の人によると、冬より夏の方がよほど忙しいらしい。夜はクラスナヤ・ボリャーナのホテルで、昼は海辺で過ごす観光客が大勢いるとのことだ(2箇所を電車で移動する)。そんな楽しみ方も悪くない。

ここは登山向きの山がたくさんある。眺めは素晴らしく、登山道はおおむね良好、道標も十分あり、ルートを記した地図も用意されている。

#Sochi #Сочи

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唯一残念なのは、登山道にゴミが散乱していることだ。ペットボトルやお菓子の包み、煙草の吸殻がルートのあちこちに捨てられ、プラスチック廃棄物が積み上がっているのを見かけた場所もある。もっとも、がっかりするようなゴミの山があるのは、ごく一部だ。おおむね手入れが行き届いていて、トレッキングの価値は十分にある。テントで何日か過ごすのもいいだろう。だが今回、我々(旅の連れはA.BとI)はほんの数時間、散策と写真撮影をしただけだった。

クラスナヤ・ボリャーナからほど近いところに、実に風変わりなアトラクションがある。怖がりな人には、まったく向かない。Skypark吊り橋だ。どうやら世界最長の歩行可能な吊り橋で、全長439 m、下を流れる川から何と207 mの高さだ!

橋を渡り切ったら、回れ右をして、はるかかなたの元の場所まで戻ろう。風が吹いたり、観光客が歩いたりで、橋は穏やかに揺れる。

橋からの眺めは見事だ。真下の眺めも良いが、ちょっと怖いかもしれない(笑)。

橋そのものも素晴らしい!

ここで、橋から飛び降りることができる。

私はまっぴらごめんだ。ロープ1本を頼りに、時速120 kmで700 mも落下だって?とんでもない!

バンジージャンプの代わりに、リフトで170 mの斜面を降りることもできる。

誰かがバンジージャンプしている。

川までの高さは207 m、バンジージャンプで落下するのは180 m程だ。ジャンプした後に動きが止まったらロープを緩めて頭を起こすと、橋まで引き戻してくれる。もちろん安全だとは言うが、とても見ていられない。

ところで、ここに来た目的は毎年恒例のロシアパートナーカンファレンスだ。仕事も遊びもとことん一所懸命、ということで。

シェレメーチエヴォ国際空港に戻り、下の画像に写っている飛行機の隣に車を止めた。今回の出張はあちこち移動しているが、まるで次の目的地をほのめかしているようではないか…

中国へ発つ前に少しだけモスクワに戻り、バウマン・モスクワ州立工科大学で講演する時間を設けた。

学生は私の話に非常に注意深く耳を傾け、その後は質問攻めだった。何と熱心なことか。ところで、まだ質問がある方は(すべての質問には答えられなかった)、下にあるコメントから遠慮なく質問してほしい(笑)

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