2016年3月15日
展示会マラソン
バルセロナで開催のMobile World Congressに参加した後、猛ダッシュでニュルンベルクへと向かった。また別の展示会Embedded Worldがあったからだ。
こちらのテーマは自動化で、出展物には回転・旋回する機械、荷物を積み卸しする機械、加熱・冷却、ポンプ、化学結合、乗り物、船舶と飛行機のほか、産業向けのあらゆるデジタル製品、その他諸々があった。サイバー産業主義の一大イベントというわけだ！
Linux、Windows、プロプライエタリOS。事業を幅広く手がけるのではなく、特定の分野に絞り込んでいる企業が多数参加していた。
当社も出展した。産業における不測の事態、標的型攻撃のシナリオ、産業界がそういった脅威から身を守る手段について説明したのだが、要するに「工場に飲ませる薬」を処方したのだ。下の写真が当社のブースと「産業機械」。これを使って、ハッカーが引き起こすインシデントを説明し、あらゆる脅威の侵入口を厳重に封鎖するカスペルスキー製品をデモした。
通り過ぎる人が当社のブースを見詰めて、足をとめる…そして驚いた声でこう問うのだ。「アンチウイルス？ここに？一体何のために？」と。こういう人たちと話し、説明して、製品を見せると、目を丸くして「なんと…」という反応が返ってくる。その後は、もう少し具体的なことを質問される。
いや失礼、少々話を盛ってしまった。来場者の半分くらいは、当社が産業向けの製品を提供していることはもう知っていて、もはや驚きはしない。我々はもう半分の人たちに教えようとしているのだ。手遅れでないことを願う（笑）
ちなみに、「Security」の文字は大半のブースで見られた。当社の技術に対する需要は急速に拡大している。実際、この展示会に参加したセキュリティ専業の企業は当社だけだ。昨年もそうだった。逆説的な考え方だろうか？
Embedded Worldは非常に大規模な展示会だ。会場は大ホール4つ、出展企業は世界各国から約900社、来場者数は25,000人以上。当然ながら、ニュルンベルクとその近郊のホテルは予約でいっぱいだった。当社のスタッフ数名は、遠く離れたフランクフルトに宿泊する羽目になった。
もちろん私は、サイバー産業の「暗黒面」がテーマの会議、ディスカッション、大規模プレゼンテーションに臨んだ。
他にも、笑えるもの、興味深いもの、好奇心をくすぐるものがあった。来場者へのクイズもある。
- 動く見本がいろいろと展示されていたが、その中でおもしろいものがいくつかあった。たとえばこの自動ワイン注ぎ機だ。
こういう機械を、ビールを注ぐのに応用できないものか。しっかり泡立つのを待って、それからグラスいっぱいに注ぎ足すというように。ここバイエルン州ではヒットするかもしれない。
- いい感じの未来的な黄色い大型トラック：誰かがここまで運転してきたのだろうか？展示会が終わったら、分解して箱に詰めて運ぶのだろうか？これが来場者へのクイズだ（ヒント：もし公道を走ったら、偶然見かけた人やカーマニアのInstagramユーザー、驚いたサイクリング好きの人たちが写真や動画をアップロードするだろう）。
- ちょっと笑える宣伝文もあった。たとえば、下の写真の男たちはこう自慢している：
a) 「アジャイル + ウォーターフォール + ISO」（これでどれだけ高馬力の車を作るというのだ？ハリウッドも真っ青だ！）
b) 1億（原文ママ）行以上のコードで「このクルマが動く」
こういう数字は公開しない方がよかったのだが。少なくとも、コード1,000行当たりのバグの数には触れられていない。現に、コードの行数というのは非常に興味深いテーマで、実のところ製品の品質や機能と直接的な関連はない。コピー＆ペーストのワザを覚えて、プログラマーとして学生を雇えば、5億行のコードを組み上げることも可能かもしれない。コードコンパイルシステムの容量がネックになるが。本気でやれば、20億行か30億行でもおそらく可能だろう！やる気と十分な力量さえあればできる。
参考までに、火星を走り回る探査機キュリオシティに使われているコードは250万行だ。すでに引退したスペースシャトルは420,000行のコードで飛んでいたという。よくわからないのだが、スペースシャトルに搭載されたソフトウェアはこれで全部なのだろうか？それとも、ほんの一部（主飛行電子ソフトウェアシステム：Primary Avionics Software System：PASS）だけなのか？
ご覧の皆さんへの質問だ：
– スペースシャトルに使われたコードは合計で何行か？（軌道に乗ったソフトウェアすべてを含む）
– ロシア版のシャトル、ブランに使われたコードの行数は？
– 最新の自動車を十分に制御するには何行のコードが必要か？
– エアバス製の飛行機のコードは（アビオニクス、ナビケーション、エンターテインメントシステムなどをすべて足して）何行か？ボーイング製は？
– ロンドンの地下鉄を走る新型車両の場合は？
- 展示会の後は、乾杯だ！ドイツの展示会の締めくくりは、食事と元気になる飲み物をいただき、夜を楽しむと決まっている！Embedded Worldも例外ではない。夜にはテーブルが出てきて、ありとあらゆる料理とアルコールがふるまわれた。だが、私はそのごちそうが運ばれるのを眺めただけで、次の目的地へと慌ただしく出発しなければならかった。
来年は、今回逃した分を取り返さねばなるまい。
Embedded World 2016の他の写真はこちらから。