2016年3月7日
バルセロナの展示会
バルセロナに前回行ったのはかなり前のことだ。前回Mobile World Congressに出席したのはもっと前で、2012年、つまり今から4年前になる。けしからんとお考えの皆さん、申し訳ない。自分でもあるまじきことだと思う。そうは言うものの、昔の旅行記を読み返すのはなかなか愉快だ!
しかし昔話はこれくらいにしておいて、現在に戻ってレポートを続けることとしよう。—>
4年の間に展示会の様子はずいぶん変わった。以前も、モバイルとスマートフォンを中心にご当地らしい雰囲気が加わった程度とはいえ、とても重要なイベントだった。今はラスベガスで開催されるCESや、ハノーバーで開催される大規模展示会CeBIT(…というより昔のCeBIT)に匹敵する規模の世界的な展示会になっている。残念なことに、CeBITにはかつては世界各国から参加者が集まっていたが、それがどういうわけかいなくなってしまった。古き良き大イベントCeBITは多言語対応をやめ、紛れもなくドイツ語圏を対象としたIT展示会になってしまった。残念だ。
まあ、悲しんでばかりいてもしかたがない。そろそろいつもの元気いっぱいの私に戻ろう。
バルセロナのMWCは前とは全然違う!会場は大きく8つのゾーンに分かれていて、そのほとんどが展示ブースで埋め尽くされ、展示を見て回る来場者でいっぱいだ。いい意味で本当に「熱気にあふれている」感じだ。
当社も出展した。
競合各社も出展していた。たとえばこちら。
やはり昔を懐かしむ気持ちになってしまう。かつてのCeBITにあった「匂い」、心地良く活気に満ちた雰囲気、「未来を感じさせる」展示物の周りに集まる人々、忙しく立ち働く人々、賑やかな音、こうしたものに囲まれて押し合いへし合いしながら会場を歩いた記憶が鮮やかに蘇ってくる。まさにあの感じが、今ここバルセロナにある。活気にあふれていて、物音や話し声で賑やかだ。ただ1つ残念な点は食べ物だ。ファストフード的過ぎて私の好みには合わない。それ以外は全部素晴らしい。広くて、大規模で、魅力的で、活気に満ちている。この展示会は大成功だ!
この大規模な展示会、(繰り返すようだが)テーマはあくまでもモバイルだ。残念ながら、最新トレンドの詳しい話は追いきれなかった。滞在したのは1日だけで、展示ゾーンやプレゼンは1つも見に行けなかった。とにかく時間がなかったのだ。だから、最新情報については別の詳細レポートをご覧いただきたい。ここでは私個人が抱いた全体的な印象と、撮影できた写真をいくつか紹介するに留める。
ここで写真をお見せしよう。
Appleが出展していないのは驚くことではない。出展しているはずがないのだ。独特のApple流マーケティング作法宗教があるのだから。
実に興味深いのは、Microsoftの影も形も見えなかったことだ!非常に驚いた…会場内のあちこちにモバイル業界のさまざまな大企業、中小企業の広告が出ていたが、Microsoftの名の付いたものは1つも見つけられなかった。たぶん目が疲れてきていて、カメラのレンズも旅行続きで汚れが溜まっているのだろう。そうだ、きっとそのせいに違いない。
実際のところ、モバイル業界におけるApple、Microsoft、Google、Samsungなどの存在という話題自体、興味深いものであると同時に、悲しみを伴うものでもある。競争に負けた企業の数々を思い出すとなおさらそうだ。しばし沈黙が降りる…[市場から忽然と姿を消した有名ブランドの数々をここに挿入]。
諸行無常とはこのことだ。消えた企業たちの冥福を祈ろう。
モバイル業界はとにかく変化が目まぐるしい。私のオフィスには未だにSiemens S4がある。壊れてはいないから使える。充電さえすれば、の話だが(笑)
かつてのCeBITを髣髴とさせるものは他にもある。国の後援を受けた展示ブースだ。どこかの省庁などが国営企業やIT製品を宣伝する目的で資金を提供している場合が多い。ちなみに、かつて1992年に私もそうした「共同」ブースに出展したことがあった(笑)
世界規模のIT展示会と聞いて、他に何が思い浮かぶだろうか?
よくあるのは、技術の粋を集めた非常に高価な「おもちゃ」(F1レーシングカーや宇宙旅行用の道具など)のお披露目や、同じくらいギャラの高い有名人などの起用だ。しかし、今回のバルセロナのMWCは、そういった「わあすごい」効果という点では地味な方だった。私の「わあすごい検知器」が作動したのは、水槽の中に入った携帯電話を見た時だけだ。それでさえ、極めて斬新というほどではない。今時それくらいのことをやるメーカーはいくらでもいる。私自身もカムチャッカ、クリル諸島、キリマンジャロに行った時にその種の携帯電話を使ってみたことがある。
こんな展示があった。完全自動運転のかっこいい未来型メルセデス・ベンツ。
それでどうなったかというと、人々は歩み寄り、展示物を見て、写真を撮って、それから…立ち去ってしまう。実に淡々としたものだ!人々は最新技術などもうお腹いっぱいだと思っている。発明や技術革新などといったものに尊敬の念や興奮を抱いたりしない。仮に何らかの物質を発見し、発明し、準アルファ粒子レーザーなるもので超高度な状態に拡張した、という人がいたとしても…誰もまばたき1つしないだろう。
私は何を言おうとしているのか?手作業で牛の乳搾りをし、先進的な鉄製の道具に誰もが驚いていた時代は、遠い昔のことだ。今は人工知能を備えたコンピューター制御ロボットからくり人形(そんなものは存在しないが)を見せられても誰も驚かない。しかし仮にこういった展示会に本物の牛を連れて来て、乳搾りの上級講座を開催したとしたら、大盛況になるはずだ。間違いない。
では、まとめに入る。
- 私がここに来た目的はこれだ。
- そしてこんなものを見た。
3.何についての話だったかはご想像にお任せする。
では今回はこのへんで。皆さんごきげんよう、という私は今どこにいるかと言うと…また別の都市だ。