2015年7月23日
『世界TOP100』2015年版:まえがき
皆さんこんにちは!
お気づきの方も多いと思うが、私は始終地球のあちこちを移動している。移動の目的は仕事(会議、カンファレンス、講演など)であることが多いが、たいてい多少は自由時間も作って、移動先の近くにある面白そうな場所を見に行くことにしている。時には「見て、写真を撮って、整理して、さあ次!」で終わることもあれば、冗談抜きに素晴らしい自然現象や歴史的事象を冗談抜きで真面目に考察するときもある。
こういった世界各地の驚異を見るにつけ、「誰もがこれを見るべきだ」と思うことが多い。そして「この世界で他に見るべきところはどこだろう?」と考えるようになる。地球上で最も興味深く、美しい場所はどこだろうか?かつて(ずいぶん前だが)私は、『世界の美しい場所トップ100』だったか、何かそんなようなタイトルのものをもらったことがある。同じ頃に『死ぬまでに見たい場所トップ20』というテレビ番組(これも正確なタイトルは思い出せないが)も見た。
どちらについても、最初に頭に浮かんだ感想は「こんなんじゃだめだ」というものだった。作者や番組制作者はおそらくそれほど世界各地を見てきたわけではなく、ましてや素晴らしい場所のリストを作れるほどの経験はないのだろう、と思った。その時だ、かく言う私自身のリスト、「すべての人が(時間とお金が許せば)いつかは必ず訪れるべき、地球上で最も素晴らしく興味深い場所」(だったかな)を作ろうと決めたのは。
私の『世界TOP100』は、「第1版」を2011年12月に発表した(電子版はこちら)。それから実にいろいろなことがあった。たくさんの飛行機に乗り、いくつもの新しい場所を訪れて探索したので、リストは大幅に変更された(これまでのところは私の頭の中だけでだが)。もちろん良い方への変化だ。そこで、そろそろリストに修正を反映させて改めて発表し、旅慣れた人たちや、たまに旅行をする人たち、そしてこのブログを楽しみにしている皆さんに、喜んでもらえるようにしたいと思う。
この世界TOP100リストには、自然や人間の手で(時にはその両方で)造られた最も美しい、珍しい、または神秘的な場所ばかりを集めた。北米からカムチャッカ、はては南極からニュージーランドまで、実にさまざまな地域を網羅している。
ところが、キーボードを前にリストの更新作業を始めようとしたまさにその時、突如として何か不思議な衝動(芸術の女神の化身か?)に取り憑かれてしまったようだ。リストのまえがきとして「世界の美」について短いエッセイのようなものを書きたくなったのだ。//そう、私のような人間でも時には、自然を愛する詩人、つまりこの世界の芸術的な美しさを褒め称える人間になることもあるのだ。情報セキュリティなどを業とする腕利きの技術屋たちも、時にはロマンチックな気分になることがある…要は、手遅れにならないうちに「こっち」の世界に戻って来るようにすればいいのだ(笑)。
では始めよう。アンチウイルスのドクターが美なるもの、永遠なるもの、都市や農村について語る短いエッセイだ。
限りなく巨大な宇宙のどこかで、青と白の大きな天体が巨大な黄色い恒星の周りを絶えず回っている。宇宙を舞台にしてタンゴを踊るこのペアは、数十億年前にもっと大きな何かが大爆発した後の残骸だ。そしてその青と白の天体の上にある微分子たちが寄り集まり、「進化」と呼ばれるものを成し遂げた結果、(分子から見たら)目も眩むほどの高さに達した。寄り集まり、世にも複雑な構造体を作り上げた分子たちは、世界を構成する一員となるだけでなく、世界の写真まで撮り始めた!タンパク質でできた生き物の役割や、その生き物が青と白の球体に及ぼす影響について研究し、分析し、保存し、理論を考案するために。なんという夢想家たち。なんという分子たち。なんという風習!
それでもなお我々は、地球というこのちっぽけな(あるいは、比べる対象によっては巨大な)惑星の表面に寄り集まっている。鉄とニッケルでできた核が発する極度の白熱からも、ありえないほど冷たい無限の宇宙からも、近すぎず遠すぎずちょうどよい位置に。我々はここで暮らし、何かを作ったり、壊したり、空想にふけったり、泳いだり、空を飛んだり…太陽のもとで、ありとあらゆることをしている(笑)。
また我々は、地質年代からいって、ホモサピエンスが生存し得ない時代と時代に挟まれた、快適な時代に居合わせた点でも恵まれている。この中休みの間に、我々はあらゆる種類の楽しみを味わうことができる。地球の内奥から石油やガスを掘り出し、道路や橋やトンネルを作り、飛行機で地球上をあちこち飛び回り、月へも飛んで行く。何にせよ、信じがたいほどの最先端技術や贅沢品を思うがままに利用できている。我々は実に幸運なのだ。
それほど人類は「進歩」したというのに、自然の方は人間の進歩などまったくお構いなしだ!自然は自身の法則に忠実に従い、完全に自分のペースで(ひどく長い時間をかけて)、時に陶然とさせるほどの明媚な絶景を造り出し、その過程で見違えるほど見かけを変えてしまうこともしばしばだ。人類が、地球上でのごく短い生存期間の間に、自然に夢中になり、できる限りすべてを捉え、記録し、同胞と共有しようとするのも無理はない。
地球の表面のほとんどは凡庸で無表情だ。しかし、ごく旅慣れた人でさえもいわゆる「忘我の境地」に至るような場所は確かに存在する。そして忘れるなかれ、旅はすべきだ!そうしなければ地球の表面で営まれる人生も同じように凡庸で無表情になってしまう(笑)。実際のところ、そういった我を忘れるような場所はたくさんあり、数多く見れば見るほど、既に知っているところよりも良い部分を見つけるのが難しくなる。優劣をつけることも同じくらい難しい。
最初の『世界TOP100』を発表してからほどなくして、世界の美しい場所がすべてその枠に収まりきるわけがないことを思い知った。あれから数年を経た今、枠から「あふれた分」を整理し、メインの「TOP100」リストから20件を取り出して別のリストにした。その20件は都市で(厳密には都市でないものが1件あるが、この際あまり細かいことにはこだわらないようにしよう)、残るメインの『世界TOP100』は自然や歴史の面で素晴らしい価値のある(都会的ではない)場所ばかりになった。その他のやり方は変わらない。つまり、今後も私はコスモポリタン的に世界中を動き回り、美しさを誇る有名なスポットやさほど有名でないスポットを訪れる。その過程でブログ記事を皆さんにお届けし、時々は「指折りの」(あくまで私見だが)美しい場所のリストを並べ替えたり改訂したりして、皆さんに楽しんで(そして願わくはいずれは実際に訪れて)もらえるようにするつもりだ。初回の全面的な並べ替えと改訂は今後数週間にわたり数回に分けてお届けする予定だ…
…今回のところはひとまず、予告編として以下の場所を紹介しておこう。今後お送りする『世界TOP100』記事に乞うご期待…