2016年4月13日
ロシアで一番住みやすい都市(かもしれない)ノヴォロシースク
先日、当社の役員であるE.D.が受け取った書類に私のこんな出張予定表が付いていたと言う。
- クラスノダール:地方知事と会見、提携契約に調印
- クラスノダール:クラスノダールのビジネスパートナーとミーティング
- クラスノダール:クバン大学で講演
- ノヴォロシースクへ空路移動
- ノヴォロシースク:ノヴォロシースクのビジネスパートナーとミーティング
- ノヴォロシースク:港を見学
予定表にはクラスノダールからノヴォロシースクへ飛ぶレンタルヘリコプターの領収書が添付されていた。ヘリの持ち主はAbrau-Dursoという会社で、(現地では)有名なワインとシャンパンのメーカーだ!
「そういうことか。これを”出張”だと言うわけだな?!」とE.D.は冗談を言った(笑)
残念ながら、ワイナリーに寄ってテイスティングをする時間は捻出できなかった。E.D.に言いたい。本当に仕事だったんだ、と(笑)
上空からの眺めはちょっとしたものだった。
ノヴォロシースクに接近中:
マーラヤゼムリャに到着!
残念ながらヘリから撮影できなかったものがある。周囲を飛び回っていたワシだ。自分たちの縄張りの上空を舞って他の鳥の侵入を牽制しながら、目は絶えず次の獲物を探している。どうやら、縄張りの上空を飛ぶヘリコプターも鳥だと思ったらしく、ヘリコプターに襲いかかってきた!パイロットの話では、前にフロントガラスに突っ込んで来たこともあるという!今回はパイロットの巧みな操縦で、友好的とは言い難いワシの突撃をどうにか避けることができた。あまり気持ちのいい体験とは言えないが、血まみれのワシが飛び込んでくるよりは胃のむかつきを感じる程度で済む方が断然ましだ。
何と言ったらいいか、ノヴォロシースクは本当にいいところだ。特に中心部は、素晴らしい。整然としており、明るくて華やかだ。手入れが行き届いていて、きれいに磨き込まれている。待てよ…つい先日別の都市についても同じことを言ったじゃないか。
もちろん街の中には汚いところ、ゴチャゴチャしているところ、暗く殺風景で、荒廃してうらぶれたところもないわけではないが、全体としてはきれいな都市だ。非常に長い大堤防があって最近リニューアルされたばかりだ。公園がいくつもあるし、歩行者専用ゾーンも、素敵な児童公園もたくさんある。前回私がここへ来たのは2002年だったが、わずか14年のうちに都市全体がずいぶん変わった。昔はボロボロで汚くて、寂れていて、暗澹たる気持ちにさえなるところだった。今は違う。
その日は風があって湿度が高めだったが、気持ちまで湿っぽくなることはなかった。
近くの丘の上から見た景色。
他にこんな眺めも。
温度計のバグだ。「気温85℃、水温10℃」
港と釣り人たち。
バルパライソだって?!2010年に行ったばかりだ。奇遇なこともあるものだ(笑)
「友好の木。バルパライソからの代表団が1967年9月4日に植樹」
次はノヴォロシースク港の見学ツアーだ。
港の全景に点在する多種多様な産業機械、重機類は、巨大で迫力があり、形状も実に面白い。石油、金属、石炭、穀類、木材、パイプ、コンテナなど、実にさまざまなものがこの大きな港を経由して運ばれているようだ。考えてみればそれもそのはず、この港の取扱貨物量はロシア最大なのだ。
もちろん世界最大級の港と肩を並べられるとは言えない。がしかし、実際のところ…正確に比較することなどできるだろうか?ネット上で私が見つけたデータでは、取扱貨物量が1年間にその港を経由するコンテナの数で表されている。しかし、ノヴォロシースク港で特に多く扱われているのは、コンテナに入っていないばら積み貨物だ。それに香港やシンガポールといった巨大コンテナハブ港と比較するのは適切でないと思う。そういった港は単なる積み替え拠点(コンテナを船から船へ積み替えるだけの場所)の役割を担っていることが多いからだ。
2014年にノヴォロシースク港を経由した貨物の量は1億2100万トンだった。他の大規模港はどのくらいなのだろうか?
写真を見れば、この港の大きさを実感してもらえるかもしれない。注:いずれも港の1つの埠頭だけを撮ったものだ!
貨物の積み込みと積み下ろしの作業は、昨今ほとんどが自動化されている。古い埠頭の中にはデジタル化以前の機器や仕組みが装備されているところもあるが、新しい埠頭は完全にコンピューター化されている。港湾管理会社はそうした設備の先進性を誇らしく思っているものの、コンピューター化された技術のセキュリティ面には少なからず不安を抱いている。そこで…私の出番だ。そもそもノヴォロシースクに行ったのはそのためだ。とにかく、アントワープ港で起きたような事件がノヴォロシースクで起きないようにするつもりだ。
私は街の中を歩き回っていろいろなことに驚きながら、こう思った。ひょっとするとノヴォロシースクはロシア最高の都市と言ってもいいのではないか!多くの条件を満たしている。
さまざまな面で住みやすい都市と言えるための諸条件を基準にロシアの全都市を比較したら、ノヴォロシースクはトップとは言わないまでも、かなりいい成績を収めるのではないかと密かに思う。残念なのは、空港から市街地までが遠いことと、ロンドン、東京、上海への直行便がないことだ。それさえ変わればここに住んでもいい!