スペインの駐車料金の謎:1分あたり何ユーロ?

引き続きスペインでの話を。バルセロナを訪れた後はセビリア市に向かった。2、3時間ほど車をとめる必要があったので、空港の駐S車場まで行った。そこで目にしたのが、不条理の極みとも言えるものだ。少なくとも最初はそう思えた。

駐車場の壁には、下の写真の料金表が貼られている。

909254_1000Que?(なんだこれは)

そう、これは目の錯覚でもなければ、Photoshopで加工した画像でもない。信じられないような数字ではあるが、実際の料金なのだ。

一体どういうことだ?どうやったらこうなるのだ?誰かわかる人はいるだろうか?

最初は見当もつかなかったので、2分間駐車して1ユーロを渡し、小数点以下6桁分の釣り銭をきっちり請求しようかとも考えた。だが、少しすると、おぼろげながら答えが見えてきて、謎を解明できたと思えた。この奇妙な料金がどのような理屈で決められているのか(または何の論理もないのか)、他にも知りたい人がいると思い、私の母語であるロシア語でブログ記事を書き、Nota Bene(当ブログ)のロシア語ページで公開して、私の「答え」が正しいか間違っているかを読者に見てもらった。

読者の1人がいち早くコメントしてくれたおかげで、1ユーロの数百万分の1単位という異常な料金表が、セビリアだけでなくスペイン中の空港で使われていることがすぐに判明した。これにより、セビリア限定の特異な料金という私の仮説は、サングリアの泡のように脆くも崩れ去った…

さて、少し時間を戻して、この目まいがするような小数の謎を解き明かすべく、私が立てた説を紹介したいと思う…

私の当初の考えはこうだ。この(ユニークな)料金表の作成を依頼した人物は、1時間あたりの駐車料金か、何かの計算式を基に1分当たりの料金を考えるようデザイナーに指示し、デザイナーは言われたとおりのことをやった。デザイナーはExcelか何かに適当に計算式を入力し、その結果でレイアウトファイルを埋めて、印刷会社に送り、プラスチック板に印刷してもらった。計算式がはじき出したのは小数点以下が延々と続く数字だ(数学で言うところの有理数。たとえば7分の5など)。そしてExcel(だと思う)が小数点以下の桁数を6に修正した。デザイナーは、どんな料金表ができあがったに気付かず(または気にせず)、駐車場の担当者に納品する。担当者は「料金表を至急用意しろ」とだけ言われていたのだろう。言われるままに手配して、呆れるほど長い小数部分にはやはり気付かなかった(気にしなかった)。これが私の仮説だった。

しかし!

事の真相は想像よりずっと退屈で、ありがちな話だった。

この問題に必要だったのは、私が最初に考えていたような論理や計算ではなく、経済学と租税についての理解だったのだ!

Global Research and Analysis Team(GReAT)のヴィセンテ・ディアス(Vicente Diaz)に感謝する。ディアスは次のように説明してくれた(やはり、その土地の知識に勝るものはない)
Buenos días、ユージン!

この件について説明しましょう。駐車料金がとても高額でわかりにくく、利用者から苦情が寄せられたので、政府はもう少し透明化を図るべきだと考えました。それで、利用者が比較できるように、1分当たりの料金の掲示をすべての駐車場に義務づけたのです。

駐車場の運営会社は法律を適用することにしましたが、明らかに自社の利益のためです。小数点以下の桁数をできるだけ増やすことで利用者を混乱させ、法律を事実上骨抜きにしてしまいました。

法律の抜け穴を突いて消費者を騙す、スペインでは昔からよくある手口です。」

 

これは驚いた!

だが、「小数部分を続ける」という問題はまだ有効だと思う。言い方を変えるだけでいい。こちらがスペインの駐車料金に関する新たな難問だ。

スペインの空港の駐車料金は、小数点の後に6桁の数字が続く。その目的は、駐車場の会社が利益を拡大し、利用者の目をくらませ、税法の穴をくぐることだ。しかし、理由は別にして、1分当たりの料金の計算にはどんな式を使ったのだろうか?そして、実際の少数部分をすべて計算した正確な金額はいくらになるのか?

さあ、数字に強い人たちは真剣に考えてみよう。

 

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