国境なきセキュリティ

Equationと疑念

当社は先ごろ、APT集団Equationによる過去に例を見ない極めて高度なサイバースパイ活動の調査結果を発表した。その後私は、同じような質問を何度も受けることになった。「なぜこの調査を実施し、結果を公開したのですか?」「米国の諜報機関の活動と思われるプラットフォームに調査を実施したのはなぜでしょうか?」(ちなみに、これに関する確たる証拠は何もない)。だが、一番気になった質問は「地政学的な狙いがあるのですか?」だった。この質問に一言で答えるなら、「ノー」だ。

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マイアミの「キー」へ

世界には、美しい山、火山、断崖、洞窟、谷、湖、間欠泉、氷河など、美しい自然現象が非常にたくさんある。だが、人の手で作られた美しい現象も数多く存在する。たとえば見事としか言いようのない道路だ。

最も美しい道路は(もちろん、その道路から見える景色や道路沿いの景色のことであって、アスファルトの美しさのことではない)、私見ではあるが、ニュージーランドにある。ミルフォードサウンドへと続く道路だ。素晴らしさという点でこれに迫る道路は、世界各地にいくつも存在する。オーストラリアのグレートオーシャンロードもあれば、カリフォルニア州の湾岸道路もあるし、ハワイのマウイ島の360号線、スペインのプラヤ・デアロからリョレート・デ・マルへの道路、ナポリ近郊のアマルフィ海岸道路、クレタ島の道路などだ。他にも私がまだ走ったことのない道路がいろいろある。

つい最近、一生に一度は通りたい世界の道路リストに、また1つチェックマークが付いた。そう、フロリダの最南端キーウェストへと続く光溢れる道路を、ようやく車で走ることができたのだ。キーウェストは、米国本土のマイアミのはずれからキューバへと伸びる長い列島の先端にある街で、これらの島は道路でつながっている。素晴らしい。マイアミは素晴らしい。北方四島の知事にも見習ってほしいものだ。

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グアテマラ滞在記その4:驚異の火山活動

リングオブファイアはグアテマラにも影響するそうだ。とはいえ、このカントリーの名曲は、今までもこれからも多くの人に影響を与えるだろう。失礼、今話しているのは地震、岩石圏、地殻変動に関係する方のリングオブファイア、つまり環太平洋火山帯のことだ。グアテマラもこの火山帯に属している。

グアテマラの火山の数は合計30。比較的小さな国にしては印象的な数字だ。正確な情報で定評のあるWikipediaで調べてみると、グアテマラの面積は約100,000平方キロメートルだった。この面積を火山の数で割ると…なんと!火山の力(フォース)が強い地域だ!もちろん、北方四島とは比べものにならない(10,500平方キロメートルに68の火山)が、北方四島は国ではない…

アンティグアは、アグア山、フエゴ山、アカテナンゴ山という3つの火山に囲まれており、どれも我々が泊まったホテルから見ることができた。

Guatemala volcanos

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グアテマラ滞在記その3:祭りを彩るラグ

やあ、皆さん!最近訪問したグアテマラでの冒険記の第3回だ。アンティグア・グアテマラの散策で見かけたものを紹介しよう。

まずはこの街の歴史を少々。アンティグアは、グアテマラのスペイン帝国時代の首都の1つだ。長い年月の間に、火山や地震のすさまじい力によって3度破壊された。悲しいことだ。1度目は1541年、アグア火山からのラハール(火山泥流)によって、その後1717年と1773年には地震によって壊滅している。一体どれだけ不運な街なのだ?3度目の破壊の後、政府は賢明にも首都を安全な場所に移した。もその場所が首都である。アンティグアの廃墟は放棄され、何世紀もの間、住む人はほとんどいなかった。植民地時代の威風堂々たる街の名残が、10(!)余りの帝国様式の大聖堂や教会の廃墟に今も見て取れる。廃墟ですらこれほどの荘厳さを漂わせているのだから、破壊される前の屋根がある状態の建物は、どれだけ堂々とそびえていたのだろう。

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グアテマラ滞在記その2:ナイト(ホテル)ミュージアム

さて。我々は今、グアテマラにいる。同国中心部の変わったホテルに宿泊し、すっかり落ち着いている。なんとも魅惑的な場所なのだ。今までにも、「ホテル」の定義を広げるような興味深い宿泊施設はあったが、まったく別の施設が併設されたホテルに泊まったことはない。今回はなんと、博物館だ!カーサ・サント・ドミンゴというホテルで、同国の植民地時代の首都アンティグア・グアテマラにある。

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グアテマラ滞在記その1:火山の国に到着

マドリードからグアテマラへの移動にどの航空会社を選ぶかは、考えるまでもなかった。直行便を運航している航空会社はイベリア航空しかない。「乗り継ぎなどするものか。北米の航空会社なんて、とんでもない」という感じだ(笑)

というわけで、中米に直接向かうことになった

大西洋の向こう側に最初に見えた陸地は、ハイチだった(と思う)。その次はジャマイカだ。大陸に入ってホンジュラス上空を通過したら、次が目的の国、グアテマラである。

Madrid - Guatemala

Madrid - Guatemala

Madrid - Guatemalaホンジュラスが視界に入ってきた

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カンクン・カンファレンス2015

十数年前、当時まだごく小さな企業だったKaspersky Labは、文字どおり「境界を越える」決意を固めた。国境を越えて事業を展開する多国籍企業になるということだ。ほどなくして、当社のエキスパートやアナリストが世界各地で活動するようになった。皆、メール、メッセンジャー、電話など、間接的な手段で連絡を取り合っている。これは特に問題ないが、やはり実際に顔を合わせてのコミュニケーションにはかなわない。そこで、大規模なパーティを年1回開催し、皆で集まって、直接会話する時間を持つことにした。当社のITセキュリティエキスパート向け年次カンファレンスSecurity Analyst Summit(SAS)は、このようにして生まれた。

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海面がわずか1m上昇すればモルディブの楽園は消滅する

モルディブを訪れる日が来るとは思わなかった。

なぜなら、私の旅行先は、だいたいが仕事でどうしても行く必要のある場所だからだ。モルディブ?会議も、講演も、カンファレンスもない。ここで取引が行われることなどあるのだろうか…

もちろん、ときどきは旅行者としてエキゾチックな国に行くこともあるが、観光をするなら、リュックサックとテントを持って、火山に登るのがいい。太陽、砂浜、波とは無縁の場所だ。では、なぜモルディブなのか?

と言っても、「今年の役員会パーティーはモルディブで開催します」と提案されたとき、その健康的なアイデアについて説明してもらわねば、とは思わなかった。モルディブが陽光あふれる楽園の島であることは誰もが知っている。私が反対する理由などないだろう。というわけで、我々はインド洋に向かって出発した…

Maldives

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ケルン大聖堂

元の英語記事は2015129日に公開されました。

もう1つの長年の夢がついにかなった–本物のケルン大聖堂をこの目で見たのだ。いやはや。とてつもなく大きい。不気味だ。低く垂れこめた雲の上へと突き抜ける巨大な石筍。シスターズ・オブ・マーシーよりも、さらにゴシック的だ。

Cologne Cathedral圧巻だ

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世界最大の装置 – その3

まずは第1回と第2回の内容を簡単に振り返る。

スイスとフランスの国境、ジュネーブの近くに、欧州原子核研究機構(CERN)という施設がある。いくつもある建物の中では、現代の錬金術師科学者たちが宇宙の基本構造を研究している。陽子やその他の素粒子をほぼ光速で加速し、素粒子同士を衝突させることで、クォークグルーオンプラズマなど、さまざまな種類の神秘的な物理現象を発生させ、途方もない知力(数学、物理学、原子物理学、量子力学…くらいか)、エンジニアリング能力、コンピューター処理能力を使って、基本素粒子の衝突結果を観測しているのだ。

我々は先日CERNを訪れ、かなり長時間にわたって中を案内してもらった。写真もたくさん撮影した…

最初に見た加速器はLEIR(Low Energy Ion Ring:低エネルギーイオンリング)だ。この中には鉛イオンが貯蔵されている。イオンはまず線形加速器LINAC-3からLEIRに注入され、PSリングを通過して、巨大な環状の加速器複合体へと渡される。その1つが大型ハドロン衝突型加速器(LHC)だ。

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