11人の勇敢な女性たち、スキーに乗って北極点へ

※この記事は2018年4月15日に公開されたものの日本語訳です。

「北極点までまっしぐら」というタイトルもぴったりだったかもしれない。「女性たち、北を目指す」でもいい。彼女たちが目指すのは北も北、それ以上はない北なのだから。

北極/南極の話の始まりは2009年にさかのぼる。我々がフェリシティー・アストン(Felicity Aston)氏に出会い、女性メンバーのみによる南極遠征を支援することになったのがその年だった(詳しくは私のレポート『New Year at the South Pole!』をご覧いただきたい)。その3年後、フェリシティーは再び私たちの支援を受け、さらなる冒険に出た。南極の沿岸から沿岸へとスキーで旅した。しかも単身で、60日間をかけて1,800kmを移動したのだ。

時はめぐって2018年、再び彼女が旅立つ。しかし今度は逆方向に。地球のてっぺん、北極へ向かうのだ。

詳しい情報は、こちらのサイトにあるとおりだ

10か国から集まった11人の勇気あるスキーヤーは、ロシアのボルネオ・アイスキャンプからスキーで北極点を目指す。

この北極探検は、単に人類の可能性を広げることを目的とするのではない。極限の自然環境について、そして人体と精神の双方にとっても過酷な環境についての本格的な科学調査という目的もある。さらに、最終的には宇宙での実用を視野に入れ、人々の生活をサポートするさまざまな技術(被服、衛生、コミュニケーションなど)をテストする機会でもある。つまりこれは、困難をものともしない11人の非凡な女性たちによる、常識を打ち破るようなハイテク科学探検なのだ。そして、「常識を打ち破る」のは我々の得意とするところでもある。

シニカルな方は、ボルネオ・アイスキャンプから地球のてっぺんまでの距離が150kmであることに気付き、もしかすると鼻で笑うかもしれない(困ったことだ)。そう、フェリシティーが単身で挑んだ南極探検に比べればかなりの短距離だ。だが、そんな指摘には私が反論しよう。

確かに最初の印象では、「困難」の面で多少後退して見えるかもしれない。実際はどうだろうか。

北極点も南極点も、白く凍りついた、どこまでも続く不毛地帯の真ん中に位置するというのは同じだ。しかし北極点の気候は南極点と比べると格段に厳しい。湿度は高く(重要なポイントだ)、風が吹きすさび(もっと重要なポイントだ)、ホッキョクグマがうろつき、亀裂の入った厚い氷が海を覆っている。そんなわけで、北極点への旅のほうが危険度は断然高いのだ。より面白く、挑戦しがいがあるとも言える。

2年の準備期間を経て、彼女たちは出発の用意をほぼ整えた。すでにスヴァールバルにいて、正式に冒険を開始し、ボルネオ・アイスキャンプに降り立つのにふさわしい天候となるのを待っている。

ところで、私の友人のO.R.も参加者のひとりだ。彼女もまた、スヴァールバルでボルネオ・アイスキャンプ行きの天気が青信号に変わるのを待っているところだ。

つい先日、彼女はこんなメッセージで状況を知らせてくれた。

「人見知りだから、いつもシャベルを持ち歩いています。新しい友人たちが何語をしゃべっているのかさっぱりわからないの。だからいつも何かを掘っているふりをしています。それに体中にハイテクセンサーがくっついていてね、今のところ6個。ランチにはまだありつけていない」

ロシア人的ジョークなのでご心配なく。

ほんとうにシャベルを携帯しているわけではない。手にしているのは手袋だけだ。

メッセージはさらに続く。「きょうは皆でそりを引いて海岸まで歩きました!なぜかはよくわからないけど。見知らぬ土地で本当に寒かったけれど、とてもきれいな景色も見られました。でも私はそりを持っていなかったの!フェリシティーが着く前だったから、彼女のそりを借りました、写真用に。私は服を着たままだけど、フランスの学生たち何人かは、あららら……」

今日のところはこれで終わりだ。このプロジェクトについてはTwitter専用サイトで新たな情報をお知らせしていく。

皆の前途に大きな幸運があらんことを!地球のてっぺんへ至る道中、我々の応援は皆と共にある!

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