海面がわずか1m上昇すればモルディブの楽園は消滅する

モルディブを訪れる日が来るとは思わなかった。

なぜなら、私の旅行先は、だいたいが仕事でどうしても行く必要のある場所だからだ。モルディブ?会議も、講演も、カンファレンスもない。ここで取引が行われることなどあるのだろうか…

もちろん、ときどきは旅行者としてエキゾチックな国に行くこともあるが、観光をするなら、リュックサックとテントを持って、火山に登るのがいい。太陽、砂浜、波とは無縁の場所だ。では、なぜモルディブなのか?

と言っても、「今年の役員会パーティーはモルディブで開催します」と提案されたとき、その健康的なアイデアについて説明してもらわねば、とは思わなかった。モルディブが陽光あふれる楽園の島であることは誰もが知っている。私が反対する理由などないだろう。というわけで、我々はインド洋に向かって出発した…

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到着してすぐ、楽園の名に恥じぬ場所であることがわかった。目を見張るような美しい環礁の島々、透き通った緑色の水、自然のままの白い砂浜、澄み切った青い空、生い茂るヤシの木、客室が普通の部屋ではなくビーチハウスという洒落たホテル。他にもいろいろな驚きがあった。

もう1つすぐに気付いたのは、諸島を形成する島がどれも非常に小さいことだ。小さいというのは、面積もそうだが、「背丈」についても言える。つまり、この島々は非常に海抜が低く、わずか2.5mしかないのだ!

そこで考えたのだが、世界の海面上昇が今のペースで続くとしたら…ゾッとする。モルディブはそう遠くない将来、すっかり海に沈んでしまうだろう。この美しい景色も、アトランティスのように永遠に失われてしまう。なんということだ!

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Maldives驚いた。こういう島は想像の産物でしかないと思っていた。せいぜい、パンフレット用にPhotoshopで加工した画像だろうと踏んでいたが、実在するとは!

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私はこのテーマについて深く考えるようになった。

ふむ…地球温暖化と、止めようがないと思われる海面上昇…。確かに誰もが多くの人が、安定、世界平和、人々のさらなる幸福を願っているが、自然というのはどうも、こういった善意にはお構いなしに、抜かりなく事を運ぶ才に長けているようだ。何を言いたいのかというと…

…少なくとも私には、地球温暖化はひとえに人類の責任である、とされる場合が多いように思える。人間は目前のことしか考えない愚かな存在であり、汚染された排出ガスによって地球の生態系を徐々に急速に破壊しても、何とも思わないというのだ。

だが、本当にそこまで単純な話なのだろうか?地球温暖化は、もう数百年にわたって進行している。産業革命以降という意味ではない。むしろ、産業革命は地球温暖化が原因で起きたと言っていいだろう!

数百年前から太陽が異常なほどの熱さで照りつけるようになり、その結果として光合成が促進され、地上の果物や野菜が恩恵を受ける。つまり、果物や野菜がどんどん増えていき、それに伴って人間の数が大幅に増え始めた。したがって、人間はより多くの時間を創作活動やモノの発明に費やすようになる。さまざまなモノが発明され、それらの大量生産が求められるようになった。ここでようやく各地に工場が建設され、有毒物質を際限なく垂れ流すようになった。少なくとも、こういう説もあるということだ。

とにかく、現代の話に戻ろう…

人間が今の生活をずっと続けて、何も変えなかったとすると、今ある氷河が溶けて海面が上昇することになりそうだ。それは、モルディブなど、低い土地が水没してしまうことを意味する。しかし、長年にわたる研究に目を向ければ、過去に(遙か遠い昔ではあるが)世界の海面が今より100m高い時期もあったことがわかる。なんと、200m高いときもあったのだ!その後、クライオジェニアン(氷河期の1つ)が到来し、地球全体(!)を1つの氷河が完全に覆っていたと考えられている。この時期が数百万年続いたという。北極と南極の氷が溶けた時代は他にもある。非常に温暖な気候のなか、恐竜が繁栄し、水浴びや日焼けをしていた時期だ。このときも海面が今より200m高かった。確かに、どれも何億年も前の出来事だ。私はただ、当時は人類の誕生以前であり、すべての責任が人間にあるわけではない、と指摘したいだけなのだが、それでも、どんなことが起きていたのかに目を向けてほしいと思う。

では、気象学的な観点で見て、何が起きているのか?

正直に言うと、わからない。私はこの分野の専門家ではないのだ。ここまで読んでお気付きの人もいるだろう(物思いにふけながら書いた記事なので、何かコメントがある人は、下のスペースにお願いしたい)。私にわかるのは、氷河が世界中で溶けているということだ。ヨーロッパでも、アラスカでも、ニュージーランドでも…その様子を自分の目で見てきた。ショックを受け、愕然とし、そして写真を撮った。

氷河は壊滅的なスピードで溶けている。なぜか?

専門家たちの意見が合意に向かってくれたら、と思う。その一方で、私は考えるのだが…もしかして温暖化の時期が終わりつつあり、もうすぐ寒冷化の時期が始まるのではないだろうか。オランダ人が再び堤防でスケートをするようになり、ロンドンのテムズ川が氷結し、南極と北極の氷河が拡大して大陸を飲み込む前に溶けてくれないと困るほどになるのでは。どうやって溶かせるだろう?きっと興味深く、利益を生むビジネスになるはずだ。あるいはまったく逆で、気温が上昇し続けるのだろうか?

だが、しばし、氷河が溶ける「理由」に戻って考えてみよう…

私は以前、地球の環境と生態系、気候をめちゃくちゃにしているのは人間であり、氷河が溶けるのも人間のせいだと考えていたが、今はどうかと思う。確かに、人間は地球と生態系と気候をある程度破壊している。環境汚染問題が存在しないなどと言っているのではない。しかし、問題の大部分は人間のせいなのか?それはどうだろう。なぜこんなことを書くのかというと、私が火山に登るようになったからだ。長く活動していない死火山にも、活火山にも、さらには噴火中の火山にまで、いろいろと登った。そこでは自然の真の力を、地球が生んだ自然の力を目にしてきた。しかし、生態系に影響を及ぼす力には、もっと強大なものがある。宇宙から来た力だ。

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さて、少し脱線するが、全体として見れば関係のある話をしよう。モルディブと、同地で起きる可能性のある洪水について長々と話しているわけだが…何というか、その水は一体どこから来たのだろうか?

考えたことはあるだろうか?また、なぜ地球にはこれほど水が多いのか?まあ、わからなくても心配しないでほしい。これについて考えたことがある人なら誰でも、考えなかったときよりもっと混乱してしまうからだ。

非常に多くの説がある。何十億年も前に地球に衝突した彗星によって運ばれてきた、火山から出てきた、またはその両方、などだ。「謎」の一語に尽きる。わかっているのは、この惑星の表面が大量の水で覆われていて、地球上のほぼすべての生命体も水でできていることだけだ。体の80%が水という生命体もいる!だが、そもそも水がどこから来たのかは…誰にもわからない。気味の悪い話だ!

ある晩、モルディブのビーチでこの記事を書いていると、また別の不思議な自然現象が気になった。私の目に、ある物が空をゆっくりと横切るのが映った。灰色で、表面にクレーターのある大きな円…月だ。

Moon @ Maldives月の明るい面

ここで少し、月の物理学について…

ある科学的観察を信じるとするなら、月は毎年3cm、地球から離れている。つまり、地球を回る月の軌道が(ちなみに、水の起源と同様に月の正確な軌道もほとんどわかっていない)、年に数cmずつ地球から遠ざかっているということだ。1世紀で3m離れており、ローマ帝国の時代から500mずれたことになる。しかし、これがいつまでも際限なく続くわけではない。遠い未来のある時点で、月は地球に永遠の別れを告げるのだ。非情なる世界よ、さらば、というわけか。

別に、月の光を浴びて気が触れたわけではない。いつの日か、地球の引力では聞き分けのない月を軌道に留めておけなくなり、飛び出ていってしまうらしい。だが、月はどこに行くのだろう?どれくらいの速さで?我々の哀れな月から、どんな結果が生じるのか?この慈愛に満ちた「解放」はいつ起きるのだろう?

天文学者の方がこの記事を読んでいるなら、3つ質問したい。

  1. 月が地球の軌道を離れるのは、だいたい何十億年後なのか?
  2. 月が太陽の軌道に乗るのは、およそ何十億年後か?
  3. 月は地球と同じ軸で太陽の周りを回ると見られているが、そうなると、月がいずれ地球に衝突するリスクはないか?衝突するなら、だいたいいつ頃の話だろう?それとも、太陽がその頃までに、太陽系のすべての惑星と衛星を食い尽くすほど巨大で高温になっているのだろうか?

ただの好奇心だ。

天文学者の説が間違っているとしたら、つまり、太陽がすべてを飲み込むようなことはなく、地球と月が衝突するのだとしたら、新たなテイアが生まれるということか?…この世界宇宙では珍しいことではない。長きにわたって忘れられているだけだ。モルディブのビーチで月を見ながら、こんなことを考えていた。ビーチにいれば、そういうことになる。瞑想に誘われ、物思いにふける。魅惑的な楽園の地というわけだ!

だが、悪い面を改善しないことには、良い面などあり得ない。ここでの悪い面には、雨がある。雨期があるのだ。モルディブは地殻変動が起きている地域からは遠く離れているが、それでも津波という形で影響を受けている。2004年の地震が津波を引き起こし、モルディブ諸島を飲み込み、多くの死者が出たほか、さまざまな被害が発生した。もしかすると、新たな津波に襲われる恐れがあるために、モルディブのホテルの部屋には必ず救命胴衣が用意されているのかもしれない。万が一のために…

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モルディブで宿泊したホテルについて少し書いておこう。少しというのは、そう、今は激動の時代だというのに、私はこの楽園で日光浴をしているからだ(しかし、激動でない時代などあるのだろうか?少なくとも、地球上のどこかはいつだって騒然としている)

我々が泊まったNaladhuホテルはとてもいい宿だった。非常に高級で、自分たちだけの時間を満喫できる。特に気に入ったのは、各ビーチハウスのに、個人用のスイミングプールがあることだ!どこから水を入れているのかわからなかった。水が流れてくるような穴がどこにも見当たらない。が、このシャワーを兼ねた滝から水が来ていることがわかった。

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夜はこのウッドデッキに腰掛けて、壮大な眺め、アロマ、きれいな海の空気を楽しむ。

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唯一の問題は…ここでは仕事がまったく手に付かないことだ!少し急いで、雪が降る寒い国に帰らなければ!

ところで、おそらく初めてのことだと思うが、部屋に鍵をかけなかった。ここでは鍵を使う必要がない。うれしいことだ。

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同行者の1人が、急遽帰国することになった。後で聞いた話では、彼は空港へと急いでいたのだが、乗っていたのはタクシーではなく、ボートだったそうだ。まあ、当然だろう。偶然にも、運転手船長は、専門家ではないがコンピューターネットワークとアンチウイルスに詳しい人で、帰国した同僚に、モルディブの個人ユーザーの間ではカスペルスキー製品が圧倒的に支持されていると教えてくれた。また、彼自身も当社製品を使っているという。これもうれしいことだ。

そう聞いてモルディブのことがもっと好きになった。とはいえ、何より気に入ったのはモルディブの国旗だ。色を見てほしい!この愛はまさに、一生続くだろう!

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全般的に、モルディブ諸島は自然がとても豊かだが、いつの日か海面が上昇したときに何が起きるのか?そう考えるだけで、悲しく憂うつな気分になる。海面上昇がなるべく遠い未来に起きることを願おう。できれば、多くの人が恐れる海面上昇が、この先起きないことを願いたいものだ。人類が産業革命のときのように、もう一度多くの発明を生み出し、海面上昇を止めて、モルディブを救うことを期待する!

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