2015年2月26日
世界最大の装置 – その3
まずは第1回と第2回の内容を簡単に振り返る。
スイスとフランスの国境、ジュネーブの近くに、欧州原子核研究機構(CERN)という施設がある。いくつもある建物の中では、現代の錬金術師科学者たちが宇宙の基本構造を研究している。陽子やその他の素粒子をほぼ光速で加速し、素粒子同士を衝突させることで、クォークグルーオンプラズマなど、さまざまな種類の神秘的な物理現象を発生させ、途方もない知力(数学、物理学、原子物理学、量子力学…くらいか)、エンジニアリング能力、コンピューター処理能力を使って、基本素粒子の衝突結果を観測しているのだ。
我々は先日CERNを訪れ、かなり長時間にわたって中を案内してもらった。写真もたくさん撮影した…
最初に見た加速器はLEIR(Low Energy Ion Ring:低エネルギーイオンリング)だ。この中には鉛イオンが貯蔵されている。イオンはまず線形加速器LINAC-3からLEIRに注入され、PSリングを通過して、巨大な環状の加速器複合体へと渡される。その1つが大型ハドロン衝突型加速器(LHC)だ。