2014年12月17日
コンパクトカーの「ナノ」レース
最高の週末というのは、どんな…においだろうか?私が言っているのは、あらゆる年代の男性にとって理想的な週末だ。
私は次のようなものだと固く信じている。
あらゆる年齢層の男性にとって理想の週末は、焼け付くブレーキパッドのにおい、エンジン排気のにおい、ガソリンのにおい、そしてアドレナリンのにおいがする。そう、モータースポーツだ。これに勝るものはロックンロール以外にないだろう。
つい先日、私は数人の同僚と仕事の合間を縫ってイタリアに向かい、アドリアの24時間自動車レースに参加した。全国レベルのレースではあったが、熱狂的な興奮に満ちた大会だった。だが残念ながら、甘い自動車レース勝利の香りが我々の鼻先に漂ってくることはなく、我々の車はレース中盤(スタートから12時間後)に…息絶えた。何度蘇生を試みても救えなかった。本当に残念だ。その哀れな残骸をお見せしよう。
お気づきだと思うが、この車はフェラーリでもなければF1カーでもない。起亜自動車のディーゼル車「リオ」だ。韓国の自動車業界が誇る名車である!やはり、歴史が浅いレースといえど素晴らしい。Man-o-War並みの爆音(1.5リッターエンジンの割に、その排気音ときたら…)と、「トップギア」の「有名人レース」のようなスピード(我々は時速160kmを記録)で、このレースは絶対に忘れることができない。手に汗を握りきれないほどの緊張感の中、ドライバーたちは目をぎらつかせ、勝利への意思をたぎらせている。まったく見事だ。
A.B.が「どんなチームと対戦するのだろう?」と聞くと、「チームじゃないよ、A.B.。敵と戦うんだ!」とA.M.が答えた。それは少し言い過ぎだ、と私は言った。だが、なぜA.M.がそう言ったのかはわかっている…。他のチーム(敵)は、スポーツマンシップに則った相手とは言えなかったからだ。ルールをねじ曲げることに熱心なチームばかりで(これを明らかな不正行為と呼ぶ人もいるだろう)、審判はと言えば、ルール違反を罰するわけでもなく、ただ見逃すだけだった。また、他のチームは新しく性能が上の車を与えられていた。同じ車で勝負していたら、まったく別の結果になっていただろう。しかし、ルールを守り、性能が劣るモーターを使っていた我々は、最初から敗北する運命にあった。だが、スポーツ精神を忘れないようにしよう。参加することに意義がある。ううむ、勝つのも良いのだが…
さて、ギアをバックに入れて、少し戻ってみよう…
ありとあらゆる自動車レースが世界中で開催されている。
特に有名なのが、F1、NASCAR、INDYCARだ。次がル・マンで、さらにF3000、WSR 3.5、ポルシェ・スーパーカップ、フェラーリ・チャレンジといったさまざまな国際レースがあり、国内レースも数え切れないほどある。優秀なプロ選手は最高峰のレースに参加するが、プロも比較的「小さな」大会に出場する。レースによって車の種類がまったく変わってくるのだ。
そしてノンプロのレースがある(アマチュアという言葉は使いたくない。アマチュア的な要素は何一つとしてないからだ)。その一例が、イタリアで開催されるこのル・マン風の耐久レースだ。起亜リオとフィアット500で競う大会である!
まさにコンパクトカーによる「ナノ」レース。非常にわかりやすい。
F-1カーのような馬力はないが、それでも速い。勇気がない者は参加できない。何と言っても、街で見かけるような普通の小型車ではないからだ。馬力が大幅に強化され、カスタマイズされている。絶対に必要な部品以外はすべて取り外され、内部に鋼鉄製の安全フレームが取り付けられるほか、通常の座席がレース用のバケットシートに交換され、さまざまなハイテクガジェットが搭載される。さらに、ル・マンと同様、レースは一昼夜を通して24時間続く(土曜日の午後1時から日曜日の午後1時まで)。その間にコースを650周以上周回する。レーストラックは2.7kmなので、合計1,700km以上を走ることになる。
先ほど、勇気のない者が参加できる大会ではない、と書いた…
我々の同僚は屈強かつ勇敢なドライバーで、このレースにふさわしい男だったが、彼でさえ体力の限界まで追い込まれた。今回は彼にとって初めての24時間レース。「交代」の後、車から降りてきたとき、手が震えて水のペットボトルを開けることができなかった。彼とペアを組んだプロのドライバーも、少し震えながら、座席と同じくらい真っ青な顔をして出てきた。そう、2人とも持てる力を出し尽くしたのだ。車も故障せずにがんばってほしかった。
ドライバーはレース中、何度も交代を繰り返した。今年はドライバーを8人用意しておくべきだったか。1回の運転は最長で90分間続く。ドライバー交代は、10分以上はかかるピットストップの間に行う(そのタイミングは厳重に監視されている)。ピットストップ中にガソリンの補給も、ブレーキパッドやその他の細かい部分のチェックも済ませなければならない。また、技術的な点検のために、30分の強制的なストップが4回あり、ブレーキパッドの交換などを行う…
こちらは、私が本物のプロからやり方を教わっているところだ。
ちなみに、こちらはマルコ・チイオシー(Marco Cioci)だ
シートに体をしっかりと固定するA.M.
まだ白くきれいな状態
我々にとって不愉快なことはスタート直後から始まった。いや、スタート前からだ!
いきなり(まだテストラップ中だったというのに!)燃料ポンプが故障し、車がエンストで動かなくなった。そこで予備のポンプを使うことになったのだが、通常は燃料タンクが半分空のときにしか使わないものだ。そのときは満タンだった。さらにスタート直後からセカンドギアが入らなくなった。続いてトップギアも、ファーストギアもダメになってしまう。バック、サード、フォースだけで何とかしなければならない。何という車だ。呪われているのではないか!だが、我々は諦めることなくレースを続けた。
ドライバーの交代、ブレーキパッドの交換…
日が落ちた
燃料補給
レース開始から約12時間後、我々の車はついにまったく動かなくなってしまった。
牽引車でガレージに移動され、ドライバーも技術者もみな、一眠りするために去って行った。
EGRが故障し、次はターボが死んだ。そして排気パイプとエンジンの両方から、これ以上ないくらいに黒い煙が立ちこめた(車体の左側にその跡が見える)。完全にその機能を停止し、二度と走ることはなかった。それで終わりだ。Finito.
というわけで、レースは残念な結果に終わり、4年前のようにシャンパンをかけあうことはできなかった(そのときはフィアット500限定のレースにフィアット500で出場した。今回の起亜はもう少しパワーのある車だ)。
次はもっと慎重に、今回以上の体制で臨まねばなるまい。余裕を持って、レースの1、2週間前に車を会場に送る必要がある。今年のような無様をさらさないために、チューニングには細部に至るまでこだわり抜こう。この不運と敗北を機に、一歩下がったところから考えを巡らせ、瞑想し、結果を評価することが必要だ。過ちから学び、繰り返さないために。我々は負けることにも、諦めることにも慣れていない。
この比較的楽観的な言葉を、今回の記事の締めくくりとしよう。最後まで読んでいただいたことを感謝する。Ciao!
起亜のディーゼル車のレースは実際にあるし、おもしろい:@e_kaspersky の体験を紹介!Tweet