2014年5月29日
富士山でピッケルアレルギー
やあ、皆さん!
富士に一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿
~日本の古い格言
同感だ。日本にいるのに日本一美しい山に登らないというのは、何と愚かなことだろう。だが、もう一度登るというのも正気の沙汰ではない。三度登ればこの愚行も帳消しになるのだろうか?そう願いたい。というのも、先日、二度目の富士登山に挑んだからだ!
ふもとから見上げる富士
こちらは頂上からの眺め
この山を「フジヤマ」と呼ぶ言語もあるが、日本語では「フジサン」という。漢字で書くと「富士山」だ。最初の2文字を「フジ」と読み、3文字目が山を意味する「サン」だ。この文字を訓読みすると「ヤマ」となる。理解できただろうか?さっぱりわからないという人も心配いらない。日本語が母国語でない人には難しい話だ。こちらはわかりやすいと思うが、この「サン」は日本人の名前につける敬称「さん」ではない。日本語というのは本当に・・・。
富士山は、世界にも例を見ないほど完ぺきな円錐形をした火山だ。ふもとからの眺めには息をのむばかりで、山頂が雪で覆われている時期は特にすばらしい。よく見られる景色だが、山頂に雲がかかっていて、まるで王冠をかぶっているように見えるときはさらに格別だ。近くの公園(できれば富士五湖のそばの公園)に座って、この自然の奇跡を見ているだけで、あっという間に数時間が過ぎ去ってしまう。気がつくと夜明けということもあるかもしれない。だが、これでも下から見上げたときの話でしかないのだ・・・。
山頂からの眺めはもっとすごい。苦労して登り切ったご褒美のようだ。私の語彙で、こうした驚異的な美を表現する言葉はそれほど多くない。普通は「衝撃的」とか「目を見張る」といった表現を使うのだが・・・わかるだろう。晴天に恵まれた富士に対しては、「なんと・・・」という言葉しか出てこない。筆舌に尽くしがたいとはまさにこのことだ。
富士山の特徴は、平地で囲まれていて、周囲数kmを見渡せることだ。田畑、丘、湾岸、町、村といったものがすべて、まるで手のひらにのったミニチュアのように見える!実際に上空3.7 kmから見えるのだ。
富士山の一番高い部分は海抜3,776mだが、そこには巨大な気象観測所が建っていて、周囲のミニチュアの眺めを阻害している。しかし、この観測所のおかげで見える景色もある。噴火口をのぞき込む眺めもなかなかだ。
富士山の頂上へと至るルートはいくつかあり、例年、夏の間はほとんど雪がない。それ以外の季節は深く雪に覆われている。特に人気の高いルートは、北からの吉田ルートと、南からの富士宮ルートだ。
こうしたルートの途中に「合目」と呼ばれるものがある。夏の間オープンしている山小屋で、休憩をとることができるほか、食べ物や飲み物を買え、宿泊することもできる。ルートごとに10合目まであり(最初はそう思った)、ふもとから山頂までルートに沿って山小屋が建っている。だが、よく調べてみると、10以上あることがわかった。途中から、1合目ずつ増えるのではなく、「7合目」「7合5尺」「8合目」「8合5尺」という具合になっていく。思うに、5尺は後から付け足されたもので、最初から番号を振り直すのが嫌だったのではないだろうか・・・。
5合目までは車で行ける。そこから先、北ルートでは2,300m地点、南ルートでは2,400m地点からは徒歩だけだ。
計算してみると、最初はやれそうな気がしてくる。山頂まで歩く距離は3.7 kmではなく、1.3 kmだけだからだ。しかし、それでもエンパイアステートビル約3.5棟分もある!怖じ気づいてしまいそうだ。そう、簡単にはいかない。体力が続くように、ちゃんと体を作っておく必要がある。
インターネット上には、歩きの道のりは4時間しかかからないとウソを言っているページもある。その言葉を信じてはならない!
「登りやすい季節」、すなわち雪と氷がない季節は、長蛇の列を覚悟しておこう。そう、順番待ちの人の列だ!無理もないと思う。毎日、数千人(!)が富士山に登るのだから。もちろん、歩く前から渋滞で身動きがとれなくなる(私は自分の目で見たわけではないが、信頼できる筋から聞いた話では、これが問題になっているという)。一方、「登るのが大変な季節」には、雪と氷という別の障害がある。したがって、どんな季節に富士山を制覇しようとしても、最低6時間はかかると見ておきたい。
登りやすいのは7月と8月だ。すべての山小屋が営業していて、山頂へのすべてのルートに雪がなく、何かあったときのために救助隊員が待機している。残りの10か月間はほとんど人影がなく(危険を顧みない一部の登山者は別だが)、多くの山小屋が雪に埋もれて利用できない。5合目に向かう道路は10 km手前まで閉鎖されることもある。
富士登山の最初の工程で、車に乗って上っているとき、道に木製のフェンスが立てられていた。どう見ても「18:30から7:30まで通行止め」と書かれているようだ。まいった。どうやって通ったものか。だが、そのときの我々の驚きをわかってもらえると思うが、同行していた日本人ガイドは一瞬もためらうことなく、フェンスを脇に寄せて通り抜けたのだ!その後、車を止めて、フェンスを元の位置に戻した。「日本ではこうするのだろう」。ガイド以外の3人(米国人1人とロシア人2人)は皆そう思った。
私たちが訪れた日には300人ほどが登っていて、そのほとんどが日本人だった。多くの人がスキー板やスノーボードを運んでいる。勇敢な人々だ。我々はどうかというと、正直なところ、スキーで下山するのはちょっと恐い。6時間の登りで足が棒のようになっているのに、元来た道をスキーで、しかも起伏の激しい雪と氷の上を滑り降りるなんて、とんでもない話だ。私は自分の我慢の限界を知っている。ヘリコプターで運んでもらい、頂上で下ろしてくれるというのなら話は別だが、そういうわけではない。
そりでちょっと下まで滑ってみたが、それすらも大変危険な行為であることがわかった。傾斜が急で、ブレーキになるものが(下の岩以外に)なかったので、ピッケルをブレーキにする必要があった!
避難所も雪の難からは逃れられない
富士山、それは雲を見下ろす場所
3人の富士登山者
写真はすべてこちらにある。
ちなみに、ピッケルをつかんだ翌日、顔(特に鼻)が日焼けし、唇が腫れていることに気づいた。これはピッケルの・・・・アレルギーか何かに違いない(笑) 同行者にも同じ症状が出た。
今回はここまでだ!またお会いしよう・・・