2014年2月27日
渋滞がない首都、ブラジリア
Olá!
タイトルから察しがつくと思うが、この記事はブラジルの首都で執筆している。同国は南米で大きな発展を遂げつつあり、経済成長も著しい。首都は人口260万人だが、交通渋滞がまったくない。大きな国の首都でもこのように渋滞の少ない街が多少はある。しかし、私は今回そのような首都をまた1つ訪問した。サッカー、カシャーサ、サンバ、そしてカーニバルの国の首都、ブラジリアだ。
これがその証拠
もちろん、信号待ちの車などを何台か見かけることもないわけではないが、全体として車の流れはスムーズで、日中はやや遅いものの、夜や週末はずっと速くなる。ほとんどの国の首都より交通事情は良好だ。
歩行者は常に信号が青になるのを待たねばならない?
一体どういうことなのだろうか?ブラジリアの道路はなぜ、比較的車が少なくひっそりとしているのか?1960年代に当時の大統領が首都の移転を決定した。人口が密集しているリオデジャネイロ(現在の人口は1,200万人)から、政治的に中立で同国の中心に位置し、言うなればブラジルにおけるシベリアのような場所に首都が移ったのだ。何もない場所に一から築かれたその新しい街は、ブラジリアと名付けられた。
更地の状態からできた街であるため、合理的で利便性の高い区画という点では入念に計画されている。空から見ると、飛行機の胴体と翼に似ていておもしろい。地上にはただただ広い道路が伸びていて、複雑なジャンクションが配置されているほか、たくさんのバスが行き来しており(これも渋滞が少ない理由の1つだろうか)、芝生や街路樹が生い茂っている。他の首都と違って、隙間なくビルを建てて少しでも多くの空間を使おうとしている場所はどこにもない。本当に素晴らしいのは、たくさんの車が道路を走っているのに、歩行者の妨げになっていないことだ。車とは本来そうあるべきだが。平日の昼間はダウンタウンの駐車場が車で埋め尽くされるが、きちんと駐車されており、路上駐車はない。(何度も言うようだが)他の首都ではよく路駐を目にするはずだ。
オリンピックの選手村のような風景
あと1つ良いところを紹介しよう。美しい湖があり、その周りの景色は本当に目を楽しませてくれる。
ここからはいくつか残念な点を。先に述べたとおり都市計画はよく練られているが、60年代と70年代に建設されたため、至るところに当時のシックな建築の流行が見てとれる。コンクリート製の箱のような建物もしかり、正方形や長方形の建物もしかり、歴史の闇に消えた風変わりで実験的な建築アイデアもしかり、この上なく沈うつな雰囲気もしかり、ほぼ東欧風の原始的なデザインもしかり。とはいえ、これも先ほどお話ししたことだが、美しい芝生がどこまでも広がっている。これがある程度美観を補っていると思う。
キューバ風
残念な点はまだある。ここにはインターネットがないのだ!本当にない。お金を出してもだめだ。形の上では使えることになっているのだが…。どういうことかと言うと、料金を払うことはできるが、払っても使えない!地元の人はただ我慢しているようだ。なんとまあ・・・
それから、「5つ星」のRoyal Tulipホテルでお湯が出なかった!幸い私はロシア人なので、世界の終わりというほどではなかったが。(よくご存じない方のために説明しよう。ロシアでは昔から毎年夏ごろに、最長で1か月間、すべての建物でお湯が止まる。お湯は巨大な1箇所の施設のセントラルヒーティングで温められて、地下に埋まったパイプを通って熱いまま出てくるからだ) 私が摂氏8度(華氏46度)のカトゥニ川で泳ぐことを知っている人もいるだろう。それにしても、一国の首都の5つ星ホテルでお湯を使えないというのは初めての経験だった(笑)
そしてもちろん、ブラジルでは犯罪が多発している。困ったことだ。ブラジリアには貧困地区がかなり多く、そこでは必然的に軽犯罪も重犯罪も発生する。旅行者が昼間にカメラをひったくられたというひどい話を聞くし、恐ろしいほど殺人事件発生率が高く、犯罪に手を染める子供も非常に多い。とても悲しいことだ…。
さて、嫌な部分はここまでにして…
良い面の話に戻って、さらにいくつか紹介しよう。
ロシア大使館は本当に見事で、何もかもが豪華絢爛だ。外から見ても悪くないが、中がすごい。特に、巨大なメインホールは壮観だ。床には麗しい寄せ木張りのほか、大理石がふんだんに使われており、壁にはそれらに劣らぬズラブ・ツェレテリ(Zurab Tsereteli)の彫刻がある。うっとりしてしまう部屋だ。
この荘厳で優雅な大使館の唯一の問題は、40年ほど前に建てられたということだ。何というか、随所に年代を感じる。控えめに言っても少しくたびれた感じだ。たとえば、寄せ木張りの床は傷んでいて、少し歪んで段差ができているところもある。それにシャンデリアは、いかにも70年代風だ。しかし、大使館員によると、ちゃんと修理するための予算がないだけなのだという。
他の話題としては、ブラジリアに向かう途中、サンパウロ空港で、中国国際航空や大韓航空などの一部の航空会社がブラジルへの直行便を運行していることを知って驚いた(日本の航空会社も以前は運行していたが、リーマンショックの影響で2008年に廃止されている)。そう、またアジアから中南米まで、米国やメキシコで乗り換えなくても行けるようになったのだ。やったぞ!…何がそんなにうれしいのかって?米国のほとんどの空港やメキシコシティの空港では、入国審査で必ず、嫌になるくらい長い間待たされるからだ。これは御免こうむりたい。
案内板にはエチオピア航空という興味深い名前もあった。ブラジル行きだ!素晴らしい!ということで、ブラジルにはアディスアベバ経由でも行けるようになった。今度試してみなければ…。何泊かして、街を探索しよう。ちょっとしたミッションだ。いいね。
最後に、渋滞のない首都の話に戻ろう。キャンベラや東京との共通点についてお話ししなければならない。キャンベラはブラジリアと同じく何もないところに計画的に建設された都市で、当時オーストラリアの首都を巡って争っていた2つの主要都市(シドニーとメルボルン)の中間地点に作られた。同市もまた平地に築かれ、比較的小規模で、政府関係の施設以外に興味を引かれるものは特にない。多くの道路がガラガラだという点も共通している。
東京の道路も非常に車が少ないが、その理由は異なる。1つは駐車場がずいぶん前に有料化されたこと、もう1つは、世界一混雑する見事な地下鉄を建設したことだ。
ブラジルへの旅の写真はすべてこちらにある。
では皆さん、Tchau!