2014年2月13日
視線の先には緑の象
こんにちは!
数週間前にロンドンのウエストエンドを散策したとき、美術品収集家の友人の勧めでニューボンドストリートに立ち寄った。この通りにはロンドンで古くから続いているオークションハウスがある。ちょうどいいタイミングだったと思う。数日前にテートモダン美術館を訪れ、私はお菓子屋さんに来た子供のように胸がときめき、マーク・ロスコ(Mark Rothko)か誰かの近代美術の傑作を手に入れて、オフィスに飾りたい気分だったからだ。普段、私が大盤振る舞いをするときは、いつも見せびらかすことだけが目的なのだが、今回は違うということに私自身が驚いた。
そして、見たのだ。輝かしい光を放つエメラルド色の…象を!その背にはラッパを吹く金色の天使が乗っている。大きくて優雅なブロンズ製の彫像だ。未来に対する希望、「大いなる幸福が約束された未来」の到来を告げている。本当の意味で見る人の美的感覚を満足させてくれる作品であり、テートモダン美術館でいくつか見かけたなんだかよくわからない「芸術作品」とはわけが違う。私は一目でこの象の虜になってしまった。
だが、この作品で特に私の目を引いたのは、何と言ってもその色である。英国のモータスポーツのナショナルカラー…ではなく、Kaspersky Labのコーポレートカラー、緑色だ!当社はずっと緑色を使ってきた。製品の箱、ロゴ、フォント、マスコット、そして世界中のオフィスの家具や備品に至るまで、Kaspersky Labのほぼすべてに緑だけが使われている。また、この作品を手がけたのが、私が称賛してやまない超現実主義者であることも、私が魅了された要因の1つだろう。彼はとてもユニークな人物で、決して他にはない独自のスタイルを持っている。私は長年、彼の作品を世界中で何度も何度も見てきた。特に、彼の作品だけを展示するカタルーニャとフロリダの美術館にはよく足を運んだ。もう誰だかわかっただろうか?
ということで、数週間前に出会ったこの型破りな緑色の象について、私の思いを方程式にすると以下のようになる。
Kaspersky Labの緑 + 美の喜び + 大ファンの天才アーティスト + ラッパを吹きたくなるほど明るい未来 = 何が何でも手に入れたい!
さて、つい先日の話になるが…。
先ごろこの作品が、チェルシーのニューボンドストリートで見つけた場所と同じところでオークションにかけられた。参加者いわく、オークションホールには強い緊張感が漂っていて、誰もがアドレナリンを出し、神経をすり減らしていた(が、オークションでは皆そのような雰囲気を作り出すのが好きなので、当然のことだったのだろう)。この彫像の正式なタイトルは「Elephant de Triomphe」(歓喜の象)というのだが、実は非常に人気が高かった。それはそうだろう。一目見ればおわかりいただけるはず。だが、手に汗握る緊迫の展開の末、ついにやった。我々が競り落としたのだ!象と天使が我々のものになった!万歳!!!
巨大、ブロンズ、緑、金、高貴。それがこの作品だ。
昆虫のように細長い象の足は、このアーティストの作品で何度もテーマになっており、未来を象徴している。もっと正確に言うなら、「過去と未来の間のはかなさの象徴」だ。天使も象徴であり、この超現実主義者の作品にたびたび登場する。私が特に気に入っているのが、この天使が明るい未来の到来を告げているということだ。今にもサイバー戦争が勃発するかもしれないという状況で、うれしいことではないか。
サルバドール・ダリ(Salvador Dali)は歓喜の象を14体制作したことがわかった。4体は彼自身が持っていて(誰も彼を責められまい)、8体は売られ、残りの2体は気前のいいことに、制作を手伝ってくれた作業者にあげたそうだ。我々の象は売られた8体のうちの4番目で、以前はスイスの個人の所蔵品だった。間もなく当社の新オフィスに送られてくる!だが、2棟あるビルのどちらに置こうか?困った、どちらに飾るかで争いが起きるだろう。明るい未来の前触れだというのに(笑)
いつかはこの緑の象を美術館に堂々と展示して、Kaspersky Lab社員以外の人にも、近代美術のお手本とも言える素晴らしい作品を見て、感嘆し、とにかく喜んでもらいたい。やはり芸術とは、分かち合って楽しむものだ。
今回買った彫像に対する意見は、「驚嘆」と「疑問」にまっぷたつに割れるだろう。もちろん、疑いの目で見る人もいるはずだ。そういう人は常にいるし、嫌う人はいつも嫌う。しかし、やはり、そんな人たちも携帯電話を取りだして、この喜びの彫像と臆面もなく写真を撮るに違いない。それがすべてを物語っている。