2013年9月24日
アバンギャルドな街、マクデブルク
ロシアのことわざを1つ紹介しよう。ざっと翻訳すると、「1世紀生きれば1世紀のあいだ驚かされる」といった感じだ。すべてを見たと思っても実際はそうではない、という意味ではないだろうか。私にとってこの言葉がぴったりだったのが、最近のマクデブルク市への旅行だ。まさに驚かされた。
全体的に、マクデブルクは少し退屈な田舎町だ(あくまで私見だ。私は1年の大半をモスクワで過ごしているので)。あるものといえば、川(エルベ川だが、ここではまだとても小さい)、その川のとても印象的な土手、同じくらい印象的な(修復された)城壁と、ゴシック様式の大聖堂くらいで、他には特にない。ただ、こうした退屈さをすべて埋め合わせてくれる特徴が1つあったのだ。
市内中心部に、他の建物とまったく調和しない巨大な住宅兼商業施設がある。その名もGreen Citadel of Magdeburg(マクデブルクの緑の要塞)。見てほしい!この色、形、模様!同じようなものを見たことがあるだろうか?
この常軌を逸した建築物を担当したアーティストは、20世紀後半のガウディ(Gaudi)といわれるフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(Friedensreich Hundertwasser)氏だ。同氏はこれ以外にも、独自の驚くべきスタイルで、中央ヨーロッパ全域の数多くの建物を優れた芸術作品に変えてきた。
オーストリア人であるフンデルトヴァッサー氏は真の独自路線を行く人で、もちろん私は彼のファンだ。同氏の考えでは、人はどれも似たり寄ったりの箱みたいな家に住むべきではないそうだ。また、住人は自分の周りの壁に色を塗るか、他の何らかの方法で壁を変えるように勧められるべきだという。この考えは家の中の壁にも及ぶ。彼は廃工場をアバンギャルドな芸術作品に変えることにも情熱を注いでいた。
さて、もう説明は十分だろう。写真をご覧いただきたい。
後でわかったのだが、この風変わりな建物の中にはホテルもあった。何ということだ!ここに泊まればよかった!我々が宿泊したのは、ここからそう遠くない素敵なブティックホテルだったが、この美しさには及ばない。まあ、次回泊まるべき場所がわかったので、よしとしよう。
建物は独創的でも、ホテルの名前は何のひねりもない
このような建物に住んだらどんな気持ちになるのか、私にはわからない。試してみたことがないので。きっと、ほとんどのことと同じように、最初は変な感じがしてもそのうち慣れていくのだろう。以前、マドリードのプエルタ アメリカホテルに泊まったときも、2晩くらいで慣れた(それでも奇妙なホテルだったが)。
この複合施設には小さなお店もたくさんある。下の写真のようなさまざまな小物が売られていた。
他にも、カフェ、劇場、地下駐車場があった。どんな駐車場かというと・・・びっくり仰天するようなものだ。
街の中心部は居心地が良く、中世と近代の芸術が印象的な混ざり方をしている光景をたびたび目にした。
たとえば、16世紀のマクデブルク大聖堂のすぐ横には、風変わりでアバンギャルドなウサギの像が立っている。
私の目を見て
それはそうと、そもそも我々はマクデブルクで何をしていたのだろうか?
実は、この街がAV-Testの所在地なのだ。同社はさまざまな企業のアンチウイルスソフトウェアのありとあらゆる要素の比較テストを行っている。我々はこの方々に会いに来たのだ。数年間協力してきたチームとついに顔を合わせ、当社のオンライン金融取引保護技術を表彰した「Innovation Award 2013」を受け取って、そしてもちろん、アンチウイルス技術や最近の業界の問題などについて話をした。遅くなったが、いつまでも来ないよりはましだ!
青いシャツの人が多すぎではないか
さらに2人!
最小限ではあるものの強力なキット
我々はテスト機関を全面的にサポートしている。至極当然のことでもあるが。
彼らの仕事は大変だが、世界で最も高給というわけではないし、感謝されないことも多く、莫大な設備投資や人件費が必要になる。しかし同時に、真剣なアンチウイルス企業には不可欠な存在でもある。もしテスト機関がなかったら・・・いや、そんなことは考えられない。一般ユーザーは、さまざまなアンチウイルス企業の大げさな宣伝文句が入り交じったものを、どうやって見抜けばいいというのか?それに、アンチウイルス企業が自社製品を改善する方法について第三者から偏見のないアドバイスを受けられるところは、テスト機関以外にない。
だからこそ、アンチウイルス企業がテスト機関を資金面で支えているのだ。これはつまり、テスト機関は、彼らの純粋に専門的な権限とは別に、独立性と財務健全性をうまく両立させる必要があるということだ。別の言い方をしよう。彼らは独立した存在でなければならないが、アンチウイルス企業の意見や要望に耳を貸さないわけにはいかない。なぜなら、突然資金が尽きてしまう恐れがあるからだ。アンチウイルス企業が不正に圧力をかけてテスト結果に影響を与えようとしている、という話ではない。まったく逆だ。私の考えを説明しよう。
適切なバランスを取る、つまり、独立性を維持しながらも、アンチウイルス企業からの筋の通った思いつきの要求に応じるには、さまざまなアプローチを取ることができる。その1つが、基準を引き上げることだ。テストの手順と技術インフラストラクチャの両方を更新し、改善するのだ。
もちろん、このアプローチにはお金がたくさんかかる。また、実際に新しい基準を十分に満たす製品は極めて少ないため、実力のないアンチウイルス企業が関心を失い、その結果そこからの利益が少なくなり、資金面でのサポートが弱まる。なので、テストは更新も改善もされず、逆にレベルが下がってしまう。教室の後ろの方に座っているお馬鹿な生徒がみんな、なんというか、あまりお馬鹿に見えなくなるのだ。
これは、わりと最近AV-Testに起こったことだ。我々はそのことで彼らとちょっとした論争になった。以前は個人向け製品の認定を行うにあたって、マルウェアに感染してしまったシステムを修復する能力をテストしていたのだが、新しい方法論ではこのテストを廃止するという決定を下したのだ。退化ではないか!でもそれが、AV-Testにとって好ましい独立性と財務健全性の中間点だった。もちろん、我々に言わせれば、本当にひどいことだ。カスペルスキー製品はこのタスクをとてもうまくこなすが、それが評価されないというのだ。それに、認定を簡単にしてしまうと、質の低い製品を惹きつけることになるし、(何より)役に立たない比較テストになってしまう(製品の重要な機能がテストされないわけだから)。
では、我々はどうするべきだったのか?思春期の子どものように不機嫌になり、「彼らとは二度と口をきかない」? それもいいだろう。
我々がやる必要があったのは、それを乗り越えることだった。アンチウイルス業界の同志たちとようやく直に会って、話をして、議論して、説明して、意見を述べて・・・他にも色々あるが、この問題の解決に取り組み、皆が、何にもましてユーザーがハッピーになれるように努力する。これが我々のしたことだ。この話し合いの結果がどうなるのか・・・しばらくは様子を見ることにしよう。うまくいくように!
もっといた??!!??!!
それはそれとして。仕事の話はもう十分だろう。では、この素晴らしいテスト機関の中を見て回ることにしよう。
必須のテストコンピューターやキャビネットの他にも、多種多様なアンチウイルスプログラムが見事に揃った棚を見せてもらった。
多岐にわたるコレクション
あらゆるテスターにとって、ヴィンテージもの
もちろん、箱も青
AV-Testを訪問した後は、また高速に乗ってベルリンに向かった。その途中、奇妙な風景をいくつか目にした。
ドイツのガソリンスタンドの給油機に貼り紙があったのだ。ロシア語などいくつかの言語で書かれているのだが、どうにもたどたどしい文章だ。Google翻訳を使ったのではないかと思う・・・。
次に、ベルリンのポツダム広場の近くで、ロシア語の看板の美容室を見かけた。こんなものを見るとは思っていなかった・・・。
旧東西ベルリンを結ぶ歩道橋だ。今では、高速道路を横切る普通の通路に見える(本当に?誰か知っている人?)
この旅では他にも変わった風景を見かけた。こちらに説明と写真を掲載している。
今回のヨーロッパ横断弾丸ツアーは合計で4日。バラトン湖(ハンガリー)、アイゼナハ(ドイツ)、そしてもちろん、ベルリンとマクデブルクに行った。
写真はこちらにまとめてある。
さて、モスクワに戻るときがやってきた。9月のモスクワは異常に暑いということはなく、過ごしやすい気候で、どちらかというと11月のように感じられるが、絶え間なく雨が降り続いている。これから数週間は旅行に行くことはない。少しの間お休みだ・・・。
Tschüss!(それでは!)