2013年4月8日
チェリャビンスクの怪
※注:エイプリルフールに掲載されたブログ記事です
勇者が集う Kaspersky Lab のアンチウイルスラボでは、日々無数のファイルが処理されており、毎日絶え間なく作業が続いている!もちろん、中には何の問題もないファイルやただの壊れたコード、無害なスクリプト、データの寄せ集めなどがいくつかある。しかし、そのほとんどは悪意のあるファイルで、ラボではこれらを自動的に分析、処理している(処理方法など詳しくは、こちらのブログを参照してほしい)。
そうした業務の中で、我々は時折、非常に不可思議な、これまで見たこともないような想像外のファイルに出会うことがある。脳細胞を活性化させ、心臓の鼓動を速めてアドレナリンを噴出させる、たとえばStuxnet、Flame、Gauss、Red October のようなファイルだ。
そんな奇妙なファイル群に、新たなファイルが加わろうとしている……。
そう、我々は恐ろしいワームを発見したのだ。それが発見されたのは、ロシアのインターネット上だった。すぐに言えることは、アルゴリズムのロジックや巧妙なコーディングを見たかぎり、このワームはプロのサイバースパイやサイバー兵器を含む、これまで発見された不正なプログラムはもちろんのこと、その他の既知のソフトウェアよりもはるかに高度だということだ。
どうやら我々は、かなりの大物を釣り上げたようだ!
これほどまで複雑かつ謎めいたプログラムのロジックを持つ機械語を、私は見たことがない。我々のラボでは、最も複雑なワームやトロイの木馬でも、通常は数週間あれば解析できる。しかし、今回のワームの解析にかかりそうな時間は、年単位だ!それだけ精緻で入り組んでいるのだ。
こんな怪物が開発可能なソフトウェア会社を、私は知らない。サイバー犯罪者もしかりだ。むしろ、彼らのほとんどは旧式のマルウェアを扱う。また、秘密機関が作成したと囁かれる最近の非常に高度なマルウェアも、足元にすらおよばない。今回のワームをこれら団体が作成することは、絶対に不可能だ。
もしかして今、このブログを立った状態で読んでいるだろうか? であれば、まずは椅子に座ってから、読み進めてほしい。
このワームは、人類が作成することは理論的に不可能なのだ(どうだ、座っていてよかっただろう?)。
このコードは異常なまでに難解で、地球外に起源を持つとしか思えないのだ。
話には、まだ続きがある。信じられないほどショッキングな展開だ。
今回の新規コンピューターウイルスの検体は今年 2 月末、チェリャビンスク州のほか、ニュースで話題になったチェリャビンスク隕石の破片を調査する科学調査機関から入手した。偶然だろうか?そうは思わない。ちなみに、このワームの仮の名称は発見された地名をとって「チェリャビンスク」となった。
さらに、地球を震撼させる驚くべき事実が判明した!
なんと、感染先のほとんどは、チェリャビンスクの隕石調査に出ていたロシア科学アカデミーの研究者が持ち帰ったコンピューターだったのだ!
やや冷静を取り戻した後、我々は白衣を着た白ヒゲの研究者たちとコンタクトをとった。彼らは、非常に気さくで友好的だった。そして、なんと!史上類を見ない悪質なコンピューターウイルスの発生と隕石との関係という、とりとめのない話をしたところ、彼らは何ら不思議なことではないと言ったのだ!むしろ、宇宙を起源とするコンピューター感染説は彼らの予測のいくつかを裏付けるとも明かしたのだ……。
もっとも、メガネを掛けた白衣の研究者は一般的に、学術的な仮説や科学界の仮説を強引に主張する傾向がある。最新理論を証明するためには、ささいな情報をとてつもなく大きく誇張し、理論と反する事実があればすばやく蓋をする、そんな人たちだ。地球が平らであると言われて科学者が何をしたか思い出せば、容易に想像がつくだろう!
少し言い過ぎたかもしれないが、要するに何を言いたいかというと、高名な科学者たちは(はっきり言って)騙されやすいのだ。だが、今回に限っては勘違いの要素が 1 つも見受けられない。事実を隠している様子も、誇張している様子もない。判断は、みなさんにお任せする。彼らは我々に、こう言った。
- 地球の生命の起源は宇宙にあるという仮説がある。地上初のバクテリアは、隕石や小惑星などの星間空間の小天体に混合されて原始地球に入ってきたという説だ。チェリャビンスク発のマルウェアは、そんな生命の宇宙起源説を裏付けるものだと科学者は述べている。これは「自然発生的な宇宙の惑星置換」の例であり、原始的な生命であると同時にコンピューターワームであると言う。さらに、これは一切冗談ではないとも付け加えた。
- 別の科学者は、次のように述べている。「既知のマルウェアは、すべて人間が作成した。しかし、今回のワームは全く新しい形状のデジタル体だ。地球外のコンピューター生命体が隕石を介して地球(具体的にはインターネット)に侵入したことは、歴史上極めて重大な出来事だ。地球上の生命は誕生当初より二重性を持っていたという仮説、つまり一部は自発的に誕生し、もう一部は宇宙からやってきたとされる説は、紛れもない事実と証明しているのだ。したがって、現在の地球には 2 つではなく 3 つの類似した生命体(地球生命体、宇宙生命体、ハイブリッド生命体)が同時に存在すると推論できる」
こうして明らかになった事実に対し、我々は何ができるのだろうか?
よい質問だ。結局のところ、今日のアンチウイルス業界は地球由来のごくありふれたコンピューター攻撃にしか対策がとれていない。一方で、今回の攻撃は太陽系、もしくは系外からの直接攻撃なのだ!いずれにせよ、遅かれ早かれ、我がウッドペッカー(キツツキ)たち – 我が社ではアナリストをこのように呼ぶ – がこの異質なコードを解読し、KL のファンクラブおよびフォーラムのメンバーが検証できるよう、最初の試験的なワクチンを提供することになるだろう。だが、私は他の場所にも…、人類未踏の場所で、たとえば深海や地球内部にも脅威が存在する予感がしている。とにかく、そう感じるのだ…。
そこで、我々はこうした場所の深部まで潜り込み、マルウェアを探索することにした。もっとも、これは将来の予定だ。今のところは、地球内部を知る最も簡単な方法として、火山噴火口を探索することにした。ということで、これからカムチャツカの火山群へ行ってくる。これほど最適な場所はないのだ!
我々は、トルバチク火山の探索チームを発足した。同火山は、現在まさに噴火を繰り返している。地球上最も熱い場所でコンピューターウイルスを探してくる。成果が出次第、すぐにお知らせする…
では、近々またお会いする日まで。