アイルランドは「ITアイランド」

私は時折、旅先で得た地理的・政治的・経済的な見解をお伝えしている。またその機会が巡ってきた。

今回訪れたのは、大西洋に浮かぶアイルランドと呼ばれる島だ。アイルランドは鉱物資源が豊富というわけでもないし、気候にも特徴はなく、とても辺ぴな場所にある。ヨーロッパ最果ての地とでも言うべきか。そして、同国はたびたび海外の深刻な金融危機に悩まされてきた。

では、アイルランドのように決して体格に恵まれていない国は、どうすればいいのか?考えてみてほしい。―――そう、考えることだ!アイルランドがやったのは考えることだったのだ。

彼らは、どうすれば海外の投資家や企業にとって最大限魅力的な国になれるかを考え、この上なく快適なビジネス環境を整備することでそれを実現した。アイルランドは、この目的のために特別な政府機関アイルランド政府産業開発庁(IDA Ireland)まで設立している。同機関は多数の熱心な公務員で構成されており、その唯一の任務はアイルランドのプロモーションだ。今のところかなりうまくやっている。約1,000社の海外企業がアイルランドにオフィスを構え、IT企業もGoogle、Microsoft、IBM、Appleなど数多く進出している。IT企業全部と言ってもいいくらいだ。今ではFacebookもいる。誘致したのはBonoだ(同じ文の中で「社会奉仕事業」と「租税回避」に言及するのはどうかと思うが)。

アイルランドの非常に熱心なPR機関を見ていると、シンガポールの同様の機関を思い出す。シンガポールの機関は、同国の産業化と近代化の戦略に大きく貢献し、経済を発展させた。ちなみに、アイルランドのRyanairはヨーロッパで(Lufthansaに次ぐ)第2位の規模を誇る航空会社なのだが、これもアイルランドの控えめな地位を示す例だ。アイルランドの価値は2階から注ぐギネスビール見た目だけでは計れない。

さて、私が何をしにアイルランドに来たのかというと、地域のITグループの集まりに参加するためだ。今回はWeb Summitという展示会が開催され、規模も国籍もさまざまな600社(!)以上の新興企業が、小さな展示会場にひしめき合っていた。新興企業が自社をアピールし、同業者や投資家との人脈作りに励むなか、大企業は斬新で革新的なアイデアの数々を物色していた。どれも優れていて、刺激的で、興味深く、価値があり、正しいものばかりだった!

Web Summit 2013

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ダブル博士号

բարեւ բոլորին!

アルメニア語の「皆さん、こんにちは」をGoogleが正しく翻訳してくれているとよいが。このエキゾチックな国(読者の皆さんにとってもそうだと思う)に行ったことをアピールしたかったもので。今回も、ビジネスとお楽しみがほどよくミックスされた旅だった。

先日、私はState Engineering University of Armeniaより名誉博士号を授かった。これは「情報セキュリティ分野におけるめざましい貢献に対する」もので、同大学の総長より直々に授与された。

ユージン・カスペルスキー、名誉博士号-バックギャモンKL/SEUA特製バックギャモン!

素晴らしい、ありがとうございます!

これで、2か国で博士号をいただいたことになる。いまや私は「英国&アルメニアの研究者」となったのだ。(最初の名誉博士号はプリマス大学から授与された)

上の写真はちょっとふざけすぎたろうか?このあとは「まともな」写真をお見せしよう。

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アバンギャルドな街、マクデブルク

ロシアのことわざを1つ紹介しよう。ざっと翻訳すると、「1世紀生きれば1世紀のあいだ驚かされる」といった感じだ。すべてを見たと思っても実際はそうではない、という意味ではないだろうか。私にとってこの言葉がぴったりだったのが、最近のマクデブルク市への旅行だ。まさに驚かされた。

全体的に、マクデブルクは少し退屈な田舎町だ(あくまで私見だ。私は1年の大半をモスクワで過ごしているので)。あるものといえば、川(エルベ川だが、ここではまだとても小さい)、その川のとても印象的な土手、同じくらい印象的な(修復された)城壁と、ゴシック様式の大聖堂くらいで、他には特にない。ただ、こうした退屈さをすべて埋め合わせてくれる特徴が1つあったのだ。

市内中心部に、他の建物とまったく調和しない巨大な住宅兼商業施設がある。その名もGreen Citadel of Magdeburg(マクデブルクの緑の要塞)。見てほしい!この色、形、模様!同じようなものを見たことがあるだろうか?

この常軌を逸した建築物を担当したアーティストは、20世紀後半のガウディ(Gaudiといわれるフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(Friedensreich Hundertwasser)だ。同氏はこれ以外にも、独自の驚くべきスタイルで、中央ヨーロッパ全域の数多くの建物を優れた芸術作品に変えてきた。

オーストリア人であるフンデルトヴァッサー氏は真の独自路線を行く人で、もちろん私は彼のファンだ。同氏の考えでは、人はどれも似たり寄ったりの箱みたいな家に住むべきではないそうだ。また、住人は自分の周りの壁に色を塗るか、他の何らかの方法で壁を変えるように勧められるべきだという。この考えは家の中の壁にも及ぶ。彼は廃工場をアバンギャルドな芸術作品に変えることにも情熱を注いでいた。

さて、もう説明は十分だろう。写真をご覧いただきたい。

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ドイツのQRホテル

Guten tag、皆さん!

私は今、ヨーロッパ横断特急の旅にある。道中、あまりにも気になる光景が目に飛び込んでくるので、読者の皆さんにシェアしなければ、という義務感にかられている。ということで、いってみよう。

その1

ドイツのアウトバーン、フランクフルト-ハノーバー間でよく見かける車は?最新のスピーディな車、それはもちろん。では、あまり見かけない車といえば?答えは簡単、古いモデルの車だ。ビンテージ級のザポロジェッツを見つけたときに私がどれほど衝撃を受けたか、ご理解いただけるだろうか。それもモスクワのプレートがついたやつだ!なんと!フルスロットルでぶっとばしてはいるものの、ガタガタカタカタ音を立てて周囲の注意を引き、周辺はスピードが落ちてアウトバーンらしからぬ感じになっていた。これは…!まさにウクライナのレトロ襲来。

germany_zap1VWビートルへのアンサー by ソ連

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リヨンの王様たち

少し前、インターポールのセクレタリーゼネラルであるロナルド・ノーブル氏がモスクワのオフィスにお越しくださった。ノーブル氏は、輝かしい経歴の持ち主だ。フランスのレジオンドヌール勲章の受勲者であり、ニューヨーク大学ロースクールの教授であり、さらに驚くべきことには、Urals State Legal Academyの名誉教授でもあるのだ(ロシア語Wikipediaには彼のページが存在する)。ともあれ、このたびは私の方が足を運ぶ番だ…

eugene-kaspersky-interpol1

フランスのリヨンは、インターポールの事務総局がある土地だ。写真を撮ってもよいかと尋ねてみたところ、嬉しいことに「何でも、お好きなようにどうぞ」という返事が返ってきた。

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フレッシュな電気

人は2種類のグループに大別することができる。電気を使う人(我々の大半がこれにあたる)、そして、電気を作る人(ごく少ない、選ばれし人々)。そんなわけで、電力技術者たちの日である12月22日(Power Engineer’s Day)を祝いたいと思う。私は今、エニセイ川沿いのチェリョームシキ(Cheryomushki)村にあるサヤノシュシェンスカヤ(Sayano–Shushenskaya)水力発電所にいる。

サヤノシュシェンスカヤ ダム

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スターシティにて

皆さん、こんにちは!

さて、また 9 月になった。夏休みだった 8 月が終わり、仕事に戻る時だ。私の場合はまた出張づくし、というよりむしろ、機上の人となる。今シーズンも世界中を飛び回る予定だが、旅程を見るに、初めて訪れる国や新しいイベントもあるようだ。これはいい、なにか目新しいことがありそうだ!日程はいつでも融通がきくようにしなければならない。計画が急に変更になるのは毎度のことだから。今年は、昨年に記録したフライト回数「100回」(正確には、回数はあやふやなのだが)を超えるかもしれない。今年はすでに 59 回達成だ(ちゃんと数えている、念のため)。 続きを読む:スターシティにて