雪上のF1レーシングカー

正確には誰の発案だったのかわからないが、私が最初に「スキー場でフェラーリF1」という話を聞いたのは半年程前のことだった。雪と氷の上でレーシングカーを走らせると考えただけで面白かったので、やるしかないということになった。これが当社とフェラーリのやり方だ(笑)。

というわけで標高1,800mにあるリヴィーニョというスキーリゾートでイベントを開催した。大勢のスキー客、地元住民、観光客、カーレース愛好者が集まった会場の様子はこんな感じだ。

ferrari-f1-2016-livigno-italy-1

#Ferrari #F1 car is now ready for the victory. I'm ready. Are you? #forzaferrari

A photo posted by Eugene Kaspersky (@e_kaspersky) on

最初は、F1レーシングカーが雪と氷の上を走っているのを見るのは少々奇妙な感じだった。当然ながら車の方も驚いたようだ。ちょうど夜中に暴風雨の中を駆りだされた馬のようなものだ。車から「ちょっとドライバー、頭がおかしくなったのか?」なんて声が聞こえてきそうだった。車は雪の上を勢い良く走り回っていたが、雪の方も「私の上で何をしているの?スキーも履かないで!」と面食らったようだ。雪の上を「運転する」というよりも「漕ぐ」と言った方が良さそうな動きだった。エンジンの回転力を考えればもっともなことだ。そもそもちゃんと進んだだけでも驚きだった。

それでも、観客は喝采し、大声で応援し、ショーは盛り上がってきた。レーシングカーはまずコースを素早く1周か2周し、それからコーナーを曲がるたびに横滑りして見せながら1周、その後一旦ピットに入り(スパイクタイヤを普通のウィンタータイヤに交換するため)、それから村の端まで走って行き(村も驚いただろう)、それから雪山に戻って来た。最後には、エンジンのうなりと回転で雪が煙のように舞い上がり、観客を喜ばせた。

F1に詳しい人はスパイクタイヤを見て少々驚いたかもしれない。

ferrari-f1-2016-livigno-italy-7

そう!これはショーのために特別に作られたPirelliの特製タイヤなのだ。

ferrari-f1-2016-livigno-italy-8

もう1つ、F1ファン向けに細かいことを言えば、車は本物のF1レーシングカー(2009年型F60モデル)で、ドライバーはフェリペ・マッサ(Felipe Massa)ではなくジャンカルロ・フィジケラ(Giancarlo Fisichella)。そう、リヴィーニョでハンドルを握ったのはフィジケラだ。ちなみに、雪も本物だ。

F1レーシングカーが付けた轍。雪にとっては試練の時だった。

ferrari-f1-2016-livigno-italy-12

というわけで、アルプスでのF1!なかなかいい考えだった。

ferrari-f1-2016-livigno-italy-13

観客も楽しみ、スポーツ記者も喜んだようだ。

重要なことを付け加えておく。もちろんこのイベントは2016年の世界選手権に向けた準備というわけではない。それでも、スクーデリアチームの雰囲気が良く、メンバーの士気も高く、車の調子も良く、幸先良好であることが感じられた。

「氷上のフェラーリ」の他の写真はこちらにある。

コメントを読む 0
コメントを書く